【コラム】美容組合は美容室業界の「価格破壊」を救える?実は面白い生衛法・法律の世界。

[記事内外にPRを含みます]

どうもKAMIUです。よく「美容室組合って意味あるのかな?入ったほうがいい?」という質問をされます。
実際どのくらい入ってるのかなーと思い、Twitterでアンケートを取らせて頂きました。

アンケートの先にあったのはTwitter美容師界隈の方は、75%が未加入という現実。
実際、加盟者数は年々減少しており、加盟率は2015年時点で25%程度※1と言われています。
(※1出典:理美容ニュース 美容組合組織率が25%台に

では、今夜は組合の知られざる法的な権利、「生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律」についてご紹介致します。

美容学校でも習うようなので、もしご存知の方がいたらすみません。
美容組合が”美容室業界の価格破壊を止められる”唯一の法律が、この生衛法です。

美容室業界を価格破壊から守れるのは美容組合なのかもしれません。

そもそも「生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律」とは?戦後の混乱から生まれた”価格維持”の法律

生衛法は戦後、美容室や理容室などで過当競争が生まれてしまい、”衛生面を維持しつつ、経営が持続できない”ような状態にまで陥ってしまったという背景で生まれた法律です。下記のハンドブックの漫画がわかりやすいですね。

つまり、価格下げすぎるのを辞めよう!という法律なんですね。
対象のサービス業は下記のようなもの。もちろん美容室も入っています。

17業種の組合があり、”すし”や”中華”というのもあるんですよね。
面白いですよね。ではこの組合にどのような権限があるのか、今宵は一つ強烈なケースをご紹介致します。

原文を引用していきますので読みづらい点ありますが、ご了承ください。
まさに美容室業界の価格破壊を止めるのは美容組合なのではないか?と皆さんも思って頂けるのではないでしょうか

美容組合の権限その1:価格破壊しているサロンに対して「営業エリアの価格破壊を止める」よう、厚労大臣を通じて勧告を出せる

生衛法は価格破壊を防ぐ法律です。では実際に、価格破壊をしている事業者に対してどのような命令を出せるのでしょうか?
生衛法57条に答えがありました。

第五十七条 第九条の規定による適正化規程が実施された場合において、当該組合の申出があつたときは、厚生労働大臣は、当該組合の地区内において、次の各号の一に該当する事態が存し、かつ、このような事態を放置しては適正な衛生措置の確保又は当該営業の経営の維持にはなはだしい支障を生ずると認めるときに限り、当該適正化規程の内容を参酌して、厚生労働省令をもつて、当該営業について、料金若しくは販売価格又は営業方法の制限を定め、当該営業者のすべてに対し、これに従うべきことを命ずることができる。

厚労省経由で販売価格を変えろ、営業方法を変えろと命じれるんですよね。
これ、、、すごいですよね、、本当にすごい法律です。

「そんなもの命令に従わなきゃいいんじゃない?」という方も多そうですが、命じない場合は次のステップに移ります。営業停止命令です。

美容組合の権限その2:価格破壊をやめなかったサロンの営業を停止させられる

57条の2にそのことが書かれています。営業修正をしない場合は、厚生労働大臣命令で営業停止を命じることが出来るとのこと。

第五十七条の二 厚生労働大臣は、営業者が前条第一項の規定による命令に違反したときは、二箇月以内の期間を定めて、その営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。
いやー、、凄い法律です。。価格破壊をしている業者が、是正しない場合は営業停止命令を出せるという法律。

つまり、美容組合は「価格破壊から業界を守ろうよ」という団体だったんですよね。
いやー、この法律、実際に運用されている事例はあまり効かないですが、どうなのでしょうか・・。

最後に:美容室組合は業界の価格破壊を止められるのか?

皆さんご存知でしたでしょうか。唯一、美容室業界から価格破壊を守れる団体「美容組合」。

一方で、この法律を利用して営業が止められたという話は聴きません。
(QBハウスの場合も、生衛法ではなく、美容所理容所としての既定に反する(洗髪台がない)という点で出店を止められていた記憶です。)

事例としてあるのかなー。。もしご存知の方いたらLINE@でお教え頂けると幸いです。
ガンガン戦っている美容組合の支部さんとかいたら連絡頂けると幸いです。