こんにちは、KMIUです。
今回は前々からやりたいと思っていた、酸熱トリートメントの検証記事になります。
KAMIUでもいくつか取り上げていた酸熱トリートメント。
髪質改善系の酸熱トリートメントでコスパ最強か!?ハホニコのケラテック「グリニコ」が優秀そう!
【超危険】Amazonでセルフ縮毛矯正、セルフ酸熱トリートメントが急増!失敗体験談もちらほら…
おそらく美容師さんの間で今もっとも賛否両論ある薬剤といってもいいのではないでしょうか?
「今までのサロントリートメントよりも長続きする」
「毛髪内部に結合を作り髪質改善ができる」
「ダメージが少ない」
といった良いイメージがある一方で、
「カラーとの相性が悪い(カラーの色が抜ける、同時施術ができない)」
「リピートしにくい」
「本当に効果があるのか疑わしい(アイロンで伸ばしているだけ?)」
といった悪いイメージも持たれている方もいる状況かと思います。
今回50本以上の毛束を使って酸熱トリートメント4メーカー、髪質改善トリートメント(非酸熱)2メーカーの薬剤を実際に検証してみました。
イメージではなく、実際に複数のメーカーの薬剤を検証することで酸熱トリートメントについて理解を深められればと思っています。
まずは簡単に「そもそも酸熱トリートメントとは」というところをおさらいしつつ、賛否両論が生まれる理由も見ていきましょう。
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そももそ酸熱トリートメントとは
そもそも酸熱トリートメントとはどのようなものなのでしょうか?
ものすごく簡単にいうと、
- 髪質改善トリートメントの代表的な薬剤
- 酸と熱を用いて髪質を改善する薬剤
となりますが、
ここでは、もう少し詳しく仕組みやメリット、デメリットを見ていきましょう。
酸熱トリートメントの仕組み
まずは、酸熱トリートメントが髪質改善をする仕組みを見ていきましょう。
以前のKAMIUの記事でも取り上げましたが、酸熱トリートメントでは、
- 「グリオキシル酸」や「レブリン酸」といった酸が毛髪内部のタンパク質と反応
- アイロンの熱により水分を飛ばし「脱水縮合」させることで安定化
- 毛髪内部のコルテックスに芯をつくり、ハリやコシを与える
という流れで髪質を改善していきます。
詳しい仕組みは上記の記事で説明していますが、
- 従来のシステムトリートメントと違い、毛髪内部に架橋を作ることで効果が長持ちする
- 縮毛矯正のようにアルカリ剤を使わないため、ダメージが少ない
というメリットがあります。
酸熱トリートメントのデメリットと失敗例
そんな酸熱トリートメントですが、一方で下記のようなデメリットがあるといわれています。
- カラーシフトにより色が抜ける
- (酸熱トリートメント後の)カラーの入りが悪い
- 匂いが気になる
カラーシフトにより色が抜ける
酸熱トリートメントと切っても切り離せないのが「カラーシフト」です。
カラーシフトは、カラー毛内のジアミン染料と化学反応することで色が落ちてしまう現象になります。
これを知らずにカラーをしているお客様に酸熱の施術をしてしまうと、もとの色が抜けてしまい大変な失敗になってしまいます。
一方で、ヘナなどジアミン染料が入っていないカラーであればカラーシフトは起こらず色落ちはしないとのこと。
また、塩基性カラーなど毛髪表面で発色するカラーは、比較的カラーシフトの影響が少ない傾向にあります。
今回の検証では、特に色落ちが激しいといわれるアッシュ系と
酸熱の顧客層(3−40代以上の女性)に多いブラウン系の色味でカラーシフトの検証を行います。
酸熱トリートメント後のカラーの入りが悪い
もう一つ、酸熱トリートメントがカラーと相性が悪いと言われる原因に、酸熱施術後のカラーの入りの悪さが挙げられることがあります。
酸熱トリートメントとカラーを同日で施術する場合には、酸熱施術を行い、アイロンで脱水縮合を行った後にカラーという流れになりますが、その際に色が入りにくいという話です。
カラーとの同日施術については「できる派」「できない派」と意見が分かれている印象です。
もちろん、お客様の状態にもよると思いますが、できない派の意見としては下記のようなものがあるようです。
- 酸熱トリートメントにより、キューティクルが閉じているので染料が入りにくい
- 酸性に振れているため、アルカリ剤の働きが抑制される
- 特に10レベル以上の高明度のカラーだと色が入りにくい
色が入りにくいとお客様の理想とするカラーを実現できないという失敗にも繋がりかねません。
ということで、酸熱トリートメント後の色の入り具合についても今回検証しています。
匂いが気になる
酸熱トリートメント後にシャンプーをすると嫌な匂いがした。
個人差はあるものの酸熱トリートメントのデメリットとして必ずあがるのが匂い問題です。
今回の検証では、どのくらい匂うのか、メーカーごとに匂いの差はあるのかどうかについても調べてみました。
酸熱トリートメント4メーカー(+非酸熱2メーカー)を実際に検証してみた
ここまで、酸熱トリートメントの仕組みやメリット、デメリットについて見てきましたがいかがでしょうか?
今回改めて編集部でも色々と情報収集をしてみたのですが、
「ネット上の意見は様々(賛否両論)」「メーカーさんもカラーシフトや色の入り具合については、あまりはっきりしていない」という印象でした。
ならば、実際検証してみるしかない!ということで、今回は下記の内容で検証を行いました。
今回の酸熱トリートメント検証でもちいたメーカー、薬剤
今回は、酸熱トリートメント4メーカーとともに、個人的に気になっていた非酸熱系の髪質改善トリートメントについても2メーカー検証しています。
「サイエンスアクアは酸熱じゃないの?」という議論が一部あるかもしれませんが、最近リニューアルしており、そちらにはグリオキシル酸やレブリン酸が入っていないことから今回は酸熱トリートメントではないというくくりで検証しています。
グリオキシル酸系ばかりになってしまったので、次回レブリン酸系なども検証してみたいと思います。
メーカー | 商品名 | 主要成分 |
---|---|---|
ハホニコ | グリニコ | グリオキシル酸系 |
アリミノ | スリムバランサー | グリオキシル酸系 |
ムコタ | トリートメントショット | グリオキシル酸系 |
パイモア | プレックスメント | グリオキシル酸系 |
ナプラ | ケラリファイン | 還元ケラチン |
next innovation | サイエンスアクア | アルカリ電解水 |
今回の酸熱トリートメント検証内容
今回の酸熱トリートメント検証は下記の内容で行っています。
すべてブリーチ毛の毛束を使って実施しています。
- 酸熱トリートメントの施術を行い、質感やツヤ感を検証する
- 酸熱トリートメントの施術を行った毛束を21回シャンプーし、3週間後の質感やツヤ感の持ちを検証する
- カラー済みの毛束に酸熱トリートメントの施術を行い、色の抜け具合を検証する
- 酸熱トリートメントの施術後にカラー施術を行い、色の入り具合を検証する
- 酸熱トリートメント施術を行った毛束を濡らしてみたときの匂いを検証する
6メーカー分の薬剤を使用したため、かなり大掛かりな検証になってしまいました。
特に、3週間後の様子を再現するためにシャンプー→ドライヤーを21回は嫌になるほどしんどかったです。。
さっそく、順番に見ていきましょう。
酸熱トリートメントの施術を行い、質感やツヤ感を検証する
まずは、単純に各メーカーの施術工程どおりに施術をしてみて、質感やツヤ感を見てみます。
検証フロー
各メーカーごとに酸熱トリートメントの施術を毛束に行い、検証をしていきます。
下記はハホニコでの流れになります。
酸熱の薬剤を塗布
1剤と2剤を1:1の割合でまぜ、毛束に塗布していきます。
加温放置
加温放置のため、ヒートキャップに入れて温めます。
もしかするとあまりヒートキャップに馴染みがない美容師さん以外の方へ補足になりますが、ヒートキャップは本来は頭にかぶせて、カラーやパーマ剤を塗った髪を加温することで薬剤の反応を良くし、時短をするために使うものになります。
トリートメント塗布
ラメラメ1,2,3を塗布。
推奨施術でトリートメントの工程が入っているものについては、酸熱の他にトリートメントも塗布しています。
ドライヤーでブロー
シャンプー後、ドライヤーでブローしていきます。
アイロンで2スルー
各メーカー2スルーずつアイロンを掛けて仕上げます。
酸熱トリートメント4メーカー(+非酸熱2メーカー)の質感とツヤ感の結果
こちらが、各メーカーの施術結果になります。
左から、アリミノ、サイエンスアクア、ナプラ、パイモア、ハホニコ、ムコタの順番で並べています。(あいうえお順)
もとの毛束(アイロン済み)に比べると、どの毛束もハリがでています。
写真だとさらにわかりにくいと思いますが、各メーカーの比較という点では、毛束ではいまいち違いがわかりにくかったというのが正直なところです。
酸熱の中ではアリミノが比較的柔らかい仕上がり、サイエンスアクアはすべての毛束の中で一番柔らかい仕上がりになりました。
酸熱トリートメントの施術を行った毛束を21回シャンプーし、3週間後の質感やツヤ感の持ちを検証する
上記の検証で酸熱トリートメントの施術を行った毛束に対してシャンプー→ドライヤーを21回繰り返します。
3週間後の毛束の状態を再現して質感やツヤ感の持ちを検証してみました。
さすがに21回もシャンプー→ドライヤーを繰り返すと、どのメーカーももとの毛束よりもダメージしている印象です。
ただ、こちらについても毛束で各メーカーの違いを評価するのはなかなか難しいという結果になってしまいました。
毛束の種類を変えて次回リベンジしてみたいと思います。。
カラー済みの毛束に酸熱トリートメントの施術を行い、色の抜け具合を検証する
3つ目の検証では、メーカー別のカラーシフト度合いを見てみました。
カラー済みの毛束に酸熱トリートメントの施術を行うことで色抜けの具合を検証します。
今回は、アリミノのアジアンカラーフェスのA6,A10,N6の3種類の色味で検証しました。
結果がこちらです。
メーカー別酸熱トリートメントでのカラーシフト結果:アッシュA6
すべての酸熱トリートメントで色が抜けているのがわかります。
当然かも知れませんが、サイエンスアクアはカラーシフトは起こらず、カラーの影響はありません。
ナプラのケラリファインについては、少し色抜けしたという結果になりました。
メーカー別酸熱トリートメントでのカラーシフト結果:アッシュA10
10レベルに明度を上げても同様の結果になりました。
メーカー別酸熱トリートメントでのカラーシフト結果:ナチュラルN6
若干色抜けをしますが、アッシュ系に比べると明らかに色の抜け具合が少なくなっています。
色味によってカラーシフトの影響が変わる結果となりました。
酸熱トリートメントの施術後にカラー施術を行い、色の入り具合を検証する
次は、酸熱トリートメントとカラーの同時施術について検証します。
前回では、カラーの色抜けを検証しましたが、今回はカラーの入り具合を検証します。
最初の検証で施術した酸熱トリートメント後の毛束にカラーしていきます。
すべてのメーカー、色味で15分放置した結果がこちらです。
酸熱トリートメントとカラーの同時施術の検証結果:アッシュA6
酸熱トリートメントの施術後にアッシュ6を塗布して15分放置しました。
すべてのメーカーで色の入り具合が悪くなることはありませんでした。
若干ハホニコが暗い仕上がりになっています。
酸熱トリートメントとカラーの同時施術の検証結果:アッシュA10
酸熱トリートメントの施術後にアッシュ10を塗布して15分放置しました。
6レベルと同様、すべてのメーカーで色の入り具合が悪くなることはありませんでした。
酸熱トリートメントとカラーの同時施術の検証結果:ナチュラルN6
酸熱トリートメントの施術後にナチュラル6を塗布して15分放置しました。
こちらもすべてのメーカーで色の入り具合が悪くなることはありませんでした。
若干サイエンスアクア以外のメーカーについては、もとの毛束よりも暗く出ている印象です。
※おまけ アッシュA10を5分放置
同時施術の検証中に気づいたのですが、メーカーによって、カラーの反応スピードが異なっていました。
そこで、アッシュ10の放置時間を5分に短くしたものも検証してみました。
なんと、ハホニコについては5分でほぼ染まるという結果になりました。
ナプラについても他のメーカーに比べて反応が早い結果に。
メーカーさんに確認したところ、酸熱トリートメントの施術で毛束が酸性に傾いており、より染料の酸化反応が進みやすくなった可能性があるとのことでした。
同じ酸熱トリートメントでも、グリオキシル酸の配合比率が異なることから、グリオキシル酸の配合濃度が高いハホニコの毛束で反応が早まったのではと推定されます。
酸熱トリートメント施術を行った毛束を濡らしてみたときの匂いを検証する
こちらは完全に主観になりますが、酸熱トリートメント後の匂い問題についても検証してみました。
酸熱トリートメントの施術をした各毛束を濡らして、匂いを嗅いで検証をしようと思ったのですが、
どの毛束もほぼ匂いがしないという結果になってしまいました。。。
メーカーさんに問い合わせたところ、酸熱トリートメントで匂いがでるケースとしては下記2パターンがあるとのこと。
- グリオキシル酸との結合が十分でなかった場合
- 施術前のプレシャンプーで、スタイリング剤や皮脂などが十分に落とせてなく、グリオキシル酸が残留してしまう場合
いずれのケースも、グリオキシル酸が残留してしまうことで、濡らすと匂いが発生してしまうとのことです。
現時点では、明確に匂いの発生原因がわかっていないとのことですが、プレシャンプー、アフターシャンプーをしっかりすることで匂いを抑制することはできるようです。
今回のケースでは、毛束を利用したことからグリオキシル酸の残留が少なく、匂いも気にならなかったと推定されます。
酸熱トリートメント・髪質改善トリートメントの検証を一緒にしてくれる方を募集します!
今回、酸熱トリートメント4種類、髪質改善トリートメント2種類を検証しましたが、レブリン酸系などまだまだ検証できていない商品についてもまた検証をしたいと思っています。
もし「KAMIUと一緒に検証をしてみたい!」という方がいらっしゃれば、LINE@までご連絡をいただけると嬉しいです!