美容師の給料問題 | 年収が上がる働き方と安い賃金を改善するには

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はじめに、「美容師の給料」と聞くとあなたはどのようなイメージを持ちますでしょうか?世間一般的には給料が「安い」・「労働時間が長い」などのマイナスイメージがおおいかと思います。

一概に全ての美容師の方の給料が安いというわけではありませんが、業界全体で見ても普通のサラリーマンよりは賃金が安いことはわかっています。では、これからの美容師の給料はどう変化していくのでしょうか?

今回は今までの「美容師は給料が安い」というイメージが、どのような現実から生まれてしまったのかと、これからの美容師の給料をどうすればあげることができるかを検証していきたいと思います。

美容師の給料はなぜ安い?その理由を紐解いていこう

出典:https://www.pakutaso.com/shared/img/thumb/freee151117071495_TP_V.jpg

美容師は「長時間労働で給料が安い」というイメージが、悲しいことに世間一般的なイメージなってしまっています。せっかく国家資格までとって一夜では習得できない技術を勉強しているのになぜ「給料が低い」というイメージがついてしまっているのでしょうか?

美容師とサラリーマンの給料の差はどのくらいか

基本的に、ほとんどの美容師の給料というのは
・お店からの「基本給」+「指名売上に対する歩合◯パーセント」
・店販売上
などから成り立ちます。そこで美容師と一般的なサラリーマンとでは、どのくらい給料に差があるのかを検証してみました。

実際に厚生労働省の平成27年賃金構造基本統計調査から見た美容師の給料を見て見ましょう。

・平均年齢:30.2歳
・勤続年数:6.7年
・労働時間:174時間/月
・超過労働:8時間/月
・月額給与:232,800円
・年間賞与:61,500円
・平均年収:2,855,100円

出典:厚生労働省「平成27年 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。

 

出典:http://careergarden.jp/biyoushi/salary/

こちらが最新の美容師の給料の平均値です。平均の年収で285万円という数字が見て取れますね。では、一般的なサラリーマンの年間の給料も見て見ましょう。


出典:http://nensyu-labo.com/heikin_suii.htm

グラフで表示して見ました。サラリーマンの給料も減少傾向にありますがそれでも平均415万円です。やはり数字で確認しても「美容師の給料が安い」という現実は明らかになっています。

ではなぜここまで給料に差がついてしまうのでしょうか。次の章で考えていきましょう。

美容師の給料システムが問題?自分の売上はどこへ

今の美容師のほとんどが「基本給」+「指名売上歩合」という給料計算になっているということは前の章を説明しましたが、実はこの「指名売上歩合率◯パーセント」という給料計算がお店によって全く変わってきます。

こちらのようにどれだけ美容師が売上をあげても、売上金に対しての5パーセントしか美容師に還元されない場所もあれば、、

このように34パーセントなど、美容師の売上金額に応じて歩合率が変わるサロンなど、美容室によって雇用している美容師=従業人に還元する給料に差が生じているということです。その美容室の経営者の方の考えで決まっている人件費の問題なので、雇用されてる美容師には変えることができない現実があります。

また、自分の売上が「何に」「どのように」「どう使われている」のかをしっかりと考えてみた方がいいかもしれません。自身が100万円を売上げて、歩合率5パーセントの場合残りの95万円はどう使われているのかを知っている美容師はどれだけいますでしょうか。

美容室がありすぎるからいけない?全国の開業推移とは

次に美容師の給料が安い理由としてあげられるのは、全体を通して美容室の数が多いという実態です。今全国に美容室がどのくらいあるか知っていますでしょうか?

出典:https://beauty-career.jp/special_contents/page/82

よく言われますが、日本中のコンビニチェーンを足しても5万軒です。いかに美容室の数が多いかが明確にわかると思います。そうなると単純計算ですが、「髪を切る」という需要はおそらく無くなることはないでしょうし、これから先も一定の市場規模で需要が見込まれる状態です。

しかし、どんどん競合する店舗ができることが価格競争が起きてしまい、結果1店舗ごとの売上が減少するということが起きてしまいます。まさに現代の「クーポン」制度がこれに当たるでしょう。美容師が価格を下げるという事がいかに市場に影響を及ぼすか、理解をしないまま「あそこもやっているからうちも」という感覚で現代の「美容室の価格」ができあがっているという事です。

美容市場を理解する事で現状が見えてくる

2014年度の理美容市場規模を前年度比98.5%の2兆1,758億円(事業者売上高ベース)と推計した。このうち、理容市場が6,473億円(前年度比98.1%)、美容市場が1兆5,285億円(前年度比98.7%)である。
理容市場は、男性若年層の理容離れ、来店サイクルの長期化、低価格サロンの台頭などによる客単価の下落等の理由から、引き続き縮小傾向が続いている。美容市場は、節約意識の高まりに伴う来店サイクルの長期化や、誘客を目的とした割引クーポンの導入サロンの増加による実勢価格の低下などの理由から微減推移となった。

出典:https://www.yano.co.jp/press/press.php/001373

ここからわかる通りに、単純計算をしてみると美容市場の1兆5285億円の市場規模を全国の店舗数の23万7525件で割ってみると、、1店舗約643万円となります。美容室の1店舗あたりの売上が分散されてしまっていることがわかります。

さらに美容師になりたいという人も減少傾向にあるため、人が足りない=忙しい時にお客をさばききれないという機会損失も発生しているサロンも多いです。そのため美容師派遣などが勢いを伸ばしている傾向もあります。

美容師の給料は頭打ちなのか?結婚にも響くお金の問題

これまでの現代の美容業界の現状からすると、お店の還元歩合率によって美容師の給料が大きく左右されることがわかったと思います。歩合についてはお店の経営者の采配次第なので雇われている美容師は、給料を交渉する材料=売上がないと現状をすぐに変えるのは厳しいでしょう。

また、美容師の給料問題として「結婚」という人生のターニングポイントにも大きく関わっていきます。結婚式はどのくらいかかるか、子供は?大学に行かせることができるか?など、様々な問題はお金のことばかり。

「本当に今のお店でやっていていいのだろうか」と思うことがある方は転職や独立も視野に入れていることでしょう。しかし、独立してお店をもつとなると非常に多くの「元手」が必要になり借り入れるにも一苦労です。

【スケルトン,スタイリスト1名,セット面2,シャンプー台1,13坪】

自己資金 250万円+融資500万円=合計準備金750万円

  • 物件の取得費用・・・・・・約130万円(初月家賃込み)
  • 内装工事費用・・・・・・・約200万円
  • 機器や道具類の設備費用・・約100万円
  • 広告費・・・・・・・・・・約30万円(初回 折込チラシなど)
  • その他・・・・・・・・・・約6万円
  • 運転資金・・・・・・・・・約240万円(6ヶ月分)

準備資金の合計金額 約656万円

出典:実録!!独立から美容室開業までの道のり

数字にして見ると「うっ」という数字が出てきます。また内装などにこだわっていきたい方はもっとかかるかもしれませんね。しかし、美容師はやりがいがあるから、、などと言われますが現実にいつか独立をしたいと思っている方はシビアにお金の問題について真剣に考えないといけません。

美容師の第三の選択 | フリーランス美容師とは

出典:フリーランスの時間節約をサポート!無料で使える会計・請求書作成サービス

現代の美容師の給料はどのように決定し、なぜ安いのかという問題を紐解いてきました。ここまでお読みの方だと「じゃあ美容師の給料はこれから上がっていくことはないのでは?」と感じるかたがほとんどではないでしょうか?

確かに現実の給料システムのままでは「歩合率」にすべてが左右されてしまう傾向が強く、どれだけ頑張っても一向に給料が増えないということになってしまうことは明白です。そこで新たに誕生しつつある美容師の形態が「フリーランス美容師」というものです。会社に雇われてお給料をもらうという形態から、自分が働いただけ自分に還元されるような報酬という形でお金をいただくシステムがフリーランスです。

業務委託美容師はフリーランス美容師か

では、現在増えてきている「業務委託」形式の美容室で働いている美容師は本当の意味でフリーランス美容師と呼べるのでしょうか?業務委託でも報酬の形態で自分で確定申告をしていれば形式上は確かにフリーランスです。

しかし、本当のフリーランスは「自分で集客ができる」という点でその他の美容師より非常に有利な仕事の仕方ができます。業務委託美容師とフリーランス美容師の違いを説明します。

業務委託美容師

・基本的に集客は美容室側がする(集客に対するコストは店が負担する)

・お店が集客したお客様をこなす形態、広告宣伝費が店側にかかっているので還元率低め

・基本的単価を低めに設定し多くのお客様をこなして報酬をあげるシステムが多い

フリーランス美容師

・自分で発信をして集客ができるコンテンツを所持している(他に頼ることなくお客様を呼べる)

・自分で自分の単価を設定しているので基本的に高単価

・施術する場所さえあればどこでも生きていくことができる美容師

このような差があります。なので本当の意味でのフリーランスは「集客が自分完結」ということが大きな違いでしょう。現代ではブログやSNS等でお客様との距離が縮まったことからうまくインターネットを使用して集客している美容師さんもいるようです。

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フリーランス美容師になることで給料がどう変わるか

まずは表の解説です。
一番左の月指名売上は「月の指名客分のみの売上」を意味しています。

フリーランス美容師は「売上の**%をお店に入金」という形式が多く、今回は材料費など込みで60%~65%バックを想定しています。
正社員に関しては基本給23万+指名売上1名につき900円という数字で試算してみました。

指名売上が40万未満の場合は正社員の方が4万円ほど売上が高いため、独立しない方が良さそうです。
指名売上が50万円を超えてきたタイミングでフリーランス美容師になったほうが圧倒的に稼げる構造になりますね。

こちらの表を見ると月指名売上を50万以上にすることが当分の雇用されている美容師の目標になると思います。まずは着実に今の美容室で顧客を作っていき、指名売上が50万を平均して超えてるようであればフリーランスになった方が確実に給料が上がります。

今までの業界の流れとしては、美容室に就職し下積みを経て顧客をもち独立をするというビジネスモデルが一般的でした。というよりそれが当たり前な環境だったと思います。しかし、現在では面貸しを行なっているサロンとフリーランス美容師をマッチングさせるサービスがあるように、自分に顧客がいればしっかりと美容師に還元されるような働き方もできるようになってきています。

新しい美容師の給料の作り方はフリーランスになると見えてくる

近年では個人が企業から仕事を受注できる「クラウドソージング」というサービスが出てきたりと、1個人が自身のポートフォリオを発信し仕事をもらう形式の働き方も出てきました。ただ「フリーランス」というと聞こえはいいですが、注意したいのが誰も守ってはくれない働き方ということ。雇用されていたとき以上に気を引き締て働いていかないといけません。

ただ、今までの美容師は独立することが夢という人が多く、資金の面や市場が成熟していることもあり競合が多い状態です。さらにはスタイリストから急に経営者になるので失敗する可能性が高い業界でもあります。

そこで、独立をする前に一度フリーランスという形式を挟むことで売上を上げるための経費の計算や、回転率などを肌で感じることになるので独立の前段階として非常に経験を積むことも可能になります。これからはフリーランス美容師同士がお金を出し合い、店舗を作って共同経営をするという未来もあるかもしれません。