【2021年版】美容室の本当に使える助成金3選まとめ

[記事内外にPRを含みます]

美容師としてサロンワークをしていく中で、「いつかは独立して自分のお店を持ちたい」と考えている方は多いと思います。
開業し運営をしていくにはやはり“資金”が必要になります。
お金の負担は精神的に重くのしかかってきますよね?

そんな時に知っておくと得するのが“助成金”です。
今回は美容室経営に使える助成金を厳選して3つ紹介しながら、助成金についての疑問に応えていきます。

助成金ってなに?

助成金という言葉は聞いたことがあるけど、一体どういうものなのかご存知ですか?
もし知っていたとしても、「手続きが面倒くさそう」とか「申請が通らなさそう」などマイナスのイメージが強いです。
助成金の仕組みを知ることは、サロン運営にも大きな影響があります。

助成金について


(出典: 写真素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)モデル 大川竜弥
助成金とは、簡単に言うと国からの支援金のことで、一般的に厚生労働省で取り扱っています。
条件さえ満たせば支援金をもらえ、なおかつ返済する必要がありません
時々“補助金”“融資”という言葉を混同することがありますが、これらは全く別のものです。

補助金

補助金は経済産業省が取り扱っている支援金で、さまざまなジャンルで募集されており、ある程度の募集期間が定められています。
募集要項の条件を満たし、事前審査と事後の検査によって初めて支援金を受け取ることができます。

また、審査には申請が必要で、事業を開始した後に報告書などの提出も必要になります。
返済が不要なことは助成金と同じですが、さまざまな審査や検査が必要なため助成金より敷居が高い気がします。

融資

融資は銀行・信用金庫・日本政策金融公庫等からお金を借りることで、当然借りるので返済が必要になります。
さらに融資には審査が必要になり、提出書類などもあるので敷居はかなり高いです。

面倒くさいと思われがちな助成金ですが、このように他の支援金より敷居が低く返済の必要がないので、今すぐにでも貰った方が良いかもしれません。

小規模サロンでも貰えるの?

メリットの多い助成金ですが、「大企業じゃないと貰えないんでしょ?」と思うかもしれません。
「うちみたいな小さいサロンはなんて貰えるわけがない」とあきらめていませんか?

あきらめるのはまだ早いです。
助成金は大企業だろうが小規模サロンだろうが貰えます。

では、貰える条件はなにかをご説明していきます。

助成金が貰えるサロンの条件

助成金がもらえるサロンの最低条件は労働保険に加入するということです。
助成金は厚生労働省が管轄していることもあり加入は必須となります。

しかし、従業員を雇っていれば必ず入っていると思いますので、ほとんどのサロンで最低条件はクリアしているはずです。

労働保険とは?

労働保険とは、労災保険雇用保険の2つを総称した名称です。

労災保険は、業務上や通勤時の災害や事故でけが、病気、障害が残った場合、死亡した場合に被保険者または遺族に保険が給付されるものです。
保険料は事業主が 100%負担ですので、労働者は払う必要はありません。

雇用保険制度は、労働者に職業訓練などのキャリアアップを支援したり、失業したときに給付金などで再就職の支援をおこなったりする制度です。

事業主は条件を満たす労働者がいる場合、双方の意思とは関係なく公共職業安定所(ハローワーク)にこれらの届けを提出しなければなりません。

ちなみに労働者はこの届けが提出されていないと給付金やキャリアアップなどの支援を受けられませんので、あらかじめ事業主に確認しておいた方が良いです。
事業主も条件を満たしていると確認がとれたなら、速やかに手続きをおこなった方が後々のトラブルを防げるでしょう。

助成金を貰うには就業規則の作成も必要


(出典:http://www.syuugyoukisokusakusei.com/sakuseisinaidemerit/demerit1/
労働保険に加入するのが最低条件と申しましたが、実はもうひとつ条件があります。
それは就業規則を作成するということです。

就業規則とは労働基準法に基づいて定められる、労働者が遵守すべき規律や労働条件などが詳細に記されている規則です。

多くの助成金の条件にはこの就業規則の写しの提出が求められます。
正直、美容業界の現状では就業規則を作成していないサロンが圧倒的に多いですので、助成金の申請をする際に新たに就業規則を作成するというサロンがほとんどでしょう。

個人事業主の場合は「就業規則の作成」と「労働保険の加入」が必要になります。
法人の場合は上記の2点にプラスして社会保険の加入も必要になります。

就業規則の作成労働保険の加入社会保険の加入
個人事業主必要必要特に必要なし
法人企業必要必要必要

社会保険に関しても美容業界ではまだまだ加入が少ないのが現実ですが、個人事業主が多い美容業界では助成金をもらえるサロンが多いのもまた現実です。

知っておいて損はない!使える助成金3選

あなたのサロンは助成金が貰えそうですか?
ではここからは知っておいて損はない、使える助成金を厳選して3つ紹介していきます。

①地域雇用開発奨励金

概要

地域雇用開発奨励金は地方など求人の少ない地域に事業所の設置・整備をおこない雇用の機会を増やすことで、条件を満たした事業主に奨励金を支給するものです。

対象労働者など複数ある条件や申請書を数枚作成する手間はありますが、東京などの都市部以外の地域が適用対象ですので、対象地域の範囲は広いです。

また、対象労働者についてもUターン、Iターン、Jターン転職者が多い地域に関しては有利と言えます。
特に生まれ育った地元を離れて都会で修行を積んだ後に戻ってくるUターン転職美容師は意外と多いので、貰えるチャンスはありそうです。

受給条件

最低条件は労働者が雇入れの時点で満65歳未満であり、その地域に居住する求職者であり、ハローワークや職業紹介事業所の紹介で雇い入れることなどがあります。

また、労働者数は3人以上(創業の場合は2人以上)を雇い入れ、雇用期間の定めのある労働者は対象外になるので注意してください。
奨励金は1年ごとに最大3回支給されます。

受給額

設置・整備費用支給対象者の増加数([]内は創業の場合のみ適用)
[2]~4人5~9人10~19人20人以上
300万円以上
1,000万円未満
50万円80万円150万円300万円
1,000万円以上
3,000万円未満
60万円100万円200万円400万円
3,000万円以上
5,000万円未満
90万円150万円300万円600万円
5,000万円以上120万円200万円400万円800万円

※中小企業事業主と認められる場合は、1回目の支給で支給額の1/2相当額が上乗せされ、創業と認められる場合は、更に支給額の1/2相当額が上乗せされます。

条件など詳しい内容はこちらからご確認ください。

②両立支援等助成金(出生時両立支援助成金)

概要

一昔前まで育児は女性がおこなうというイメージでしたが、最近は“イクメン”という言葉がある通り、男性も育児を積極的におこなう風潮があります。
この助成金は、そんな男性に育児休暇を取得させ、取得させた事業主に助成金を支給するものです

美容業界では女性の育児休暇も難しい状態ではありますが、女性が育児休暇を取っても出産直後は周囲の協力が必要なことが多いです。
一番頼れるのはご主人という場合もありますので男性も育児休暇が取れると出産直後の女性の育児負担も少なくなります。

男性美容師も数年前に比べて増加はしていますので、今後結婚し子供を授かり育児休暇が欲しいと申し出る男性は増えることが予想されます。
そういった意味では、これからの時代に必要な助成金と言えます。

受給条件

最低受給条件は

「雇用保険適用事業所の事業主である」
「子供が出生後8週間以内に、連続5日以上 (大企業は14日以上)の育児休暇を取得させる」
「育児休暇取得前に以下のいずれかを実施」
◎男性労働者に育児休暇制度を利用させるために資料などを周知する
◎管理職により、子供が出生した男性従業員への育児休暇取得の勧奨
◎男性従業員の育児休業取得についての管理職向けの研修の実施

受給額

対処企業必要取得休暇日数育児休暇1人目育児休暇2人目以降
中小企業連続5日以上60万円15万円
大企業連続14日以上30万円

※過去3年以内に男性育児取得者が出ている事業主は対象外
※支給対象は1年度につき一人まで

中小企業の多い美容業界では、育児休暇日数を連続5日以上取得させれば良いですので、サロンワークの負担も少なくて済む可能性はあります。

条件など詳しい内容はこちらからご確認ください。

③キャリアアップ助成金正社員化コース

概要

有期契約労働者 (期間の定めのある労働契約を結んでいる労働者)や無期契約労働者(有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えて、労働者の申し込みにより期間の定めのない労働契約を結んだ労働者)などが正規雇用労働者・多様な正社員等に転換または直接雇用した場合に貰える助成金です。

美容業界においても最近では雇用形態がさまざまになっております。
そして、雇用の確保が難しいというのも業界の問題の一つでもありますが、きちんと正社員として雇用することで事業主にとってはスタッフ数の確保を、労働者にとっては雇用の安定がありますので、両社にメリットがあります。

しかし、労働者にとっては正社員になると拘束時間が長くなったり、責任ある仕事を任せられるという負担があったりしますので、社会保険やその他の福利厚生の整備をし、正社員になるメリットを示す必要があります。

受給条件

受給の条件は、

「雇用保険適用事業所の事業主である」
「キャリアアップ管理者を置いている事業主である」
「対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主である」
「キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主である」

などさまざまあります。

受給額

⑴有期 → 正規1人当たり60万円(45万円)
⑵有期 → 無期1人当たり30万円(22.5万円)
⑶無期 → 正規1人当たり30万円(22.5万円)
⑷有期 → 多様な正社員1人当たり40万円(30万円)
⑸無期 → 多様な正社員1人当たり10万円(7.5万円)
⑹多様な正社員 → 正規1人当たり20万円(15万円)

※合わせて1年度1事業所当たり15人まで

※派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者または多様な正社員として直接雇用した場合に助成額を加算
◆⑴⑶は1人当たり30万円(大企業も同額)、⑷⑸は15万円(大企業も同額)加算

※⺟⼦家庭の⺟等を転換等した場合に助成額を加算 (転換等した⽇において⺟⼦家庭の⺟等である必要があります)
◆⑴は1人当たり10万円、⑵〜⑹は5万円(大企業も同額)加算

※若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合に助成額を加算 (転換等した日において35歳未満である必要があります)
◆⑴は1人当たり10万円、⑵〜⑹は5万円(大企業も同額)加算

※ 勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定した場合に助成額を加算
◆⑷⑸は1事業所当たり10万円(7.5万円)加算

条件など詳しい内容はこちらからご確認ください。

知らなきゃ損する助成金


(出典:http://mito-office.com/joseikin.html
助成金を厳選して3つ紹介してきました。

中小企業の多い美容業界ですが、大企業に比べハードルが低く受給額も多い傾向にあります。
しかし、書類の作成や申請手続きなど負担の多いのも事実です。
経営だけをおこなっていれば良いのですが、ほとんどのオーナーはサロンワークもおこなっていることが多いです。

もし、難しいと感じるなら社会保険労務士(社労士)というプロも存在しますので、初回の助成金の手続きに関しては地域で活躍する社労士に頼る方がスムーズに手続きを完了させられるかもしれません。
一度相談してみてはいかがでしょうか?