こんにちは!ミルボンという会社をご存知ですか?ミルボンは美容室向け化粧品の製造、販売を行っている会社です。このミルボンという会社、近年好業績を残しているのです。この記事ではミルボンの経営戦略、業績、今後の方針などについて詳しく解説していきます。
ミルボンってどんな会社?何をしているの?
出典:https://www.milbon.co.jp/brand
まずミルボンがどのような事業を行っているかなど基本事項を把握しておきましょう。
ミルボンの概要
ミルボンは美容サロン向けのヘア化粧品などを販売している会社です。1960年に創業しました。現在の社長は佐藤龍二氏です。市場は東証一部です。ミルボンは国内外に営業所、駐在大使事務所を設置しています。
業務用ヘア化粧品の総合メーカーの市場は1611億円あります。ミルボンは15.6%をシェアしており、これは業界トップのシェアです。(2016年度)
ミルボンの基本的事業
ミルボンは、美容室向けにヘアカラー剤、パーマ剤、ヘアケア剤などを開発しています。
ミルボンは美容品の販売は代理店にお任せして、主な事業としては積極的に美容室とコミュニケーションをとって生の現場の意見を聞いてその意見を商品開発に活かすというスタイルを採用しています。またミルボンは美容室経営のアドバイスをするコンサルティングを行っています。美容室経営者は技術畑の人が多く、あまり経営、数字については精通しているわけではありませんのでミルボンの営業部隊のコンサルティングは美容室経営において大きな役割を占めているといえるでしょう。またこのコンサルティング業務が美容室とミルボンの太いパイプのようなそう簡単に崩れない関係性を築いているといっても過言ではありません。
ミルボンの特徴として顧客は美容室に特化、集中しているというのが挙げられますね。
ミルボンほど業界、美容室からの支持を得られているのであれば、家庭用ヘアケア商品に本格的に参入してもよさそうですが、家庭用商品となるとまた違った製品開発方針が必要になって多くのコストが発生するのを防いでいるのかもしれません。
ミルボン経営の方向性
ミルボンの個人投資家向けページを見るとミルボンの経営の方向性が浮かび上がってきます。
ミルボンはターゲット、商品展開を明確に絞り込んでいます。ミルボンのターゲットはズバリ美容室です。ヘアケア市場においてはターゲットとなる層は多く、ヤング世代、シニア世代、ベビーブーム世代と多く分けられます。多くの企業はヘアケア商品開発における技術は応用できますので、多くのターゲットを狙って商品開発を行っています。資本が多いところはよりその傾向が強いです。
しかしミルボンは売上高が290億円近く(2016年度)あるにも関わらずターゲットを広げることなく美容室に集中しています。そうすることでより美容室に特化した事業に専念し、経営資源を集中することができます。美容室が求める商品開発に長けていますので、美容室からの指示を得ることができるのも当然といえます。
また少々驚きですがミルボンは商品展開を髪を中核とした化粧品に絞り込んでいます。薬剤などは化学技術を使用しますので他の製品に応用する事ができそうですがミルボンはそのようなことを行いません。選択と集中をする、ミルボンは美容室向けの化粧品に特化するという明確な意志が見えます。今後ミルボンが他の業態に参入してくることは少ないかもしれません。選択集中をすることがミルボンに成功に要因になっているのですから。
経営に教科書はありませんので自分の頭で考える必要がありますが、経営における選択と集中は強い企業の常識となっています。アップルの元CEOのスティーブジョブスがナイキのCEOに「ナイキにはよい製品はたくさんあるが、最高の製品はない。最高の製品を作るために経営資源を集中するべきだ」とアドバイスしたという逸話が残っています。ナイキは近年事業の選択と集中を行っており、業績を伸ばしています。
実際にリソースの大部分を一商品、分野に投入するのは経営者側からいったらリスクが高く感じられます。失敗した時に他の分野で埋め合わせすることが難しいからです。仕組みが同じ、商品開発における工程に大きな差がないのであれば、多角化してリスク分散させた方が良い気もしますが、やはり集中することでリスクをとりますので、多角化するよりより専門的な情報を得ることができたりして、商品そのものに深みがでるのではないでしょうか。
ミルボンのビジネスモデル
出典:http://www.milbon.co.jp/ir/pdf/20170902_presentation.pdf
上の図はミルボンのビジネスモデルです。ミルボンのビジネスモデルは「フィールドパーソンシステム」と「TAC製品開発システム」になります。
「フィールドパーソンシステム」は先程も紹介したミルボンの美容室へのコンサルティングシステムの事です。サロン1軒1軒を訪れて課題を発見し、解決策を提示します。ミルボンの営業担当者は年々着実に増えています。つまりミルボンと契約を結ぶ美容室が増えているのを物語っています。ただ単にサポートするだけでなく、埼玉アリーナで美容師のための祭典を開くなど業界全体に配慮したサポートを行っています。
「TAC製品開発システム」とはミルボンが優秀なデザイナーを発掘し、ビジネスパートナーとなります。TACとは、Target Authority Customer(顧客代表制)の略です。デザイナーからノウハウを提供してもらい、ミルボンの研究所で科学的に解明し、デザイナーのノウハウ以上の製品を開発するという方針です。このTAC製品開発システムはミルボンの経営における強みといってよいです。
「TAC製品開発システム」でデザイナーと協力して画期的な商品を開発して、「フィールドパーソンシステム」で地道に足場を固めるといったサイクルを順調に回しています。
ミルボンの過去5年間の業績ハイライト
ミルボンの過去5年間の業績をみていきましょう。
出典:http://www.milbon.co.jp/ir/finance/finance_01.html
ミルボンの過去5年間の業績によると、毎年着実に売上高、営業利益ともに前年を上回っています。このデータから読み取れることとして、ミルボンのビジネスモデルが機能している、「フィールドパーソンシステム」による営業効果が数字として表れている、美容室側ミルボンの商品を継続的に購入しており、強い関係が結ばれていることがうかがえます。イノベーション等を行っていないので、営業利益も着実に伸びており、ターゲットを美容室に特化しているため、競合が参入しても今後ミルボンの牙城を崩すのはなかなか難しいでしょう。つまりミルボンの業績見通しは非常に明るいといえます。
実際ミルボンの株価はここ5年間で右肩上がりのグラフを描いています。
このような右肩上がりに株価が上昇するのは珍しく着実な成果が株主から評価されている事が伺えます。時価総額は1000億円程あり、IT系以外でここまで着実に伸ばしているというのはとてもすごいことです。
ミルボンの今後の戦略
ミルボンの今後の戦略を見ていきましょう。美容人口、美容室収入が減っていっていますが、国内業務用ヘアケア市場は伸びています。
ミルボンは今後もこれまで通り美容室の売上を上げるためにコンサルティングを行い美容室の売上を伸ばすことで自社に売上を伸ばそうと考えています。
出典:http://www.milbon.co.jp/ir/pdf/20170902_presentation.pdf
上の図はヘアケア品購入額比率とグレーカラー施術場所の比率のグラフとなります。ミルボンとしては今後グレーカラーを行う層が増えていくのを考えると、その層をいかにして美容室に来てもらうようにするかを考えていことでしょう。そうすると、増えるグレーカラー層を取り込むような広告が増えていくことが予想されます。今後ミルボンの広告がグレーカラー層が多く来店する場所で至るところで増えていくでしょう。
ミルボンはコーセーと連携して化粧品分野に参入することを明言しています。グレーカラー層を狙っていることは明白です。ミルボンとコーセーが合弁会社を設立して、コーセーが化粧品を製造して、ミルボンが代理店などを通じて美容室に販売するといったスタイルをとるようです。やはりミルボンのターゲットの軸は美容室です。コーセーとの合弁でも、ぶれることはありません。
ミルボンの海外戦略
徐々に縮小していく国内市場を見越してミルボンは海外展開を強めています。韓国を中心とした東アジアの成長加速、東南アジア、ヨーロッパへの進出を軸として考えているようです。
出典:http://www.milbon.co.jp/ir/pdf/20170902_presentation.pdf
以上の図はミルボンの韓国と中国における売上の推移のグラフです。韓国事業は着実に成長し続けています。
ミルボンは今後お得意の美容室への選択と集中方式をまだ美容室がそこまで発展していない未開拓の東南アジア地域で強めてくることが予想されます。東南アジア地域は先進国のような美容におけるムーブメントがなく開拓の余地は大きくあります。ただ当然世界規模で他社が参入してくることが予想されますので競争は激化します。ミルボンは韓国事業進出の際に危険水域に入っていながらも地道に事業を成長させていったことができれば勝てるかもしれません。
まとめ
ここまでミルボンの経営についての解説を行ってきました。ミルボンの強さは経営における選択と集中です。選択と集中を行うことにより製品コンセプトを明確化し、製品レベルを圧倒的に高め、美容室に特化することで競合が参入しにくい状態にしているのが勝因だといえます。事実ミルボンの商品はとても利用者が多く、アマゾンや楽天のレビューなどでは高い好評価を得ています。ミルボンはおそらく今後も地道な活動で事業を伸ばしてくると予想されます。事業家がミルボンから学ぶことは、自らの得意分野に専念して農作物を耕すように地道に経営を行うということではないでしょうか。最後までお読みいただきありがとうございます。
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