人材が足りていないと、ここ数年言われ続けている美容業界。
確かに入社したと思ったら、すぐ離職していくケースを見たことがある人は多いのではないでしょうか?
しかし、なぜすぐに離職してしまうのか。
今回は美容師の離職率が高い理由について考えてみました。
美容師の離職率について
(出典:転職Hacks)
現在美容師として働いている人は何人くらいだと思いますか?
全国で50万人弱(平成27年3月末時点)だそうです。
対して美容師免許保持者は120万人を超えていると言われています。
免許は持っているけど美容師として働いていない人が単純に70万人で、半分以上は美容師ではないと言うことです。
そう考えるとやはり美容師は離職率が高いように思えます。
ちなみに美容学校を卒業後、美容室に就職した人のうち半数近くが1年で離職し、8割以上の人が3年で離職しています。
この場合は、美容師を続ける人もいますが、別の道に進み完全に離職する人もいるでしょう。
美容師の6つの離職理由
では、なぜ美容師は離職してしまうのか?
理由は次の6つが主な原因ではないかと考えられます。
①手荒れ
パーマ剤やヘアカラー剤などの薬剤、繰り返しのシャンプーやドライヤーによる乾燥で手荒れが起こることがあります。
軽度のものであれば何とか続けられることがありますが、重度のものになると手が動かなくなりドクターストップがかかります。
職業病と言ってもいいくらいなことで、手荒れで離職する人は意外と多いです。
②労働時間が長い
美容室は営業時間が定められており大体9時間くらいで休憩1時間を入れると労働時間は8時間で決して長くは感じません。
しかし、どの美容室も開店時間前にお店に入り掃除や朝礼など準備をおこないます。
また、営業後も片づけや終礼などをおこない、その後に技術の練習をおこないます。
営業前後を労働時間と考えると10時間以上となり、残業時間などは出ないことが多いです。
また、休憩も1時間もとれる美容室は少なくお昼ご飯を食べる時間もないくらい忙しいこともあります。
毎日この労働時間ですと、体力的にも精神的にもきつく離職してしまうという流れになることが多いです。
③精神的に疲れる
美容師の仕事は技術職と同時に接客業でもあります。
気の合うお客様ばかりですと精神的に楽ですが、そういうお客様ばかりとは限りません。
気難しいお客様や無理難題を言ってくるお客様もいます。
また、技術や接客のミスによりクレームが入ることもあります。
こういうことが立て続けに起こると精神的に疲れてしまい離職してしまう人もいます。
④給料が安い
美容師の平均年収は280万円前後と言われています。
これはあくまで平均ですので、スタイリストになり人気美容師となれば世間一般的な平均年収よりも稼ぐ人がいます。
しかし、アシスタント時代は給料が安いことがほとんどでこれに耐えられなくて離職しまうことがあります。
スタイリストの場合も、美容室によって給料体系は違いますので、思ったより給料が安く離職する場合もあります。
⑤体調を崩した
長時間労働に少ない休憩時間、精神的負担が多くて遂には体調を崩す人も珍しくありません。
体調管理は気を付けているつもりでも、気づかずに悪くなっているという場合もあります。
手荒れとは別で体が悲鳴を上げ、仕方なくいったん離職という人もいます。
⑥人間関係
働く時間が長いと言う事は、家族よりも長くお店のスタッフと一日を過ごすことになります。
個人店で人数が少なかろうが、チェーン店で人数が多かろうが人間同士には相性がありますので、人間関係のトラブルが発生することがあります。
ちょっとした言動により不快になったり、または逆に不快にさせたりする場合があります。
この人間関係の気まずさや煩わしさから離職する人が多いのだそうです。
しかし、いまだに人気職種の美容師
(出典: pixabay)
散々、美容師として働くデメリットを申し上げてきました。
これから美容師を目指そうと迷っている人や、現在美容師を辞めようかと思っている人にしてみれば、やはり辞めようかと背中を押してしまったかもしれませんが、美容師の仕事はデメリットばかりではありません。
いまだに美容師は人気の職種でもあります。
美容学校入学者数は現在1万9千人弱で、美容師免許は毎年1万6千人ほど取得しており、確実に美容師人口は増え続けております。
確かに、一昔前に比べると美容学校入学者数と美容師免許取得者数は減り続けていますし、少子化の影響で更に減り続けるでしょう。
しかし、これは美容業界だけではなく社会全体がそうなっていきます。
大切なのは美容師を辞めさせない環境をこれから作っていくことが必要だということです。
美容師を続けられるには訳がある
では、現在も美容師を続けている人はなぜ続けているのでしょうか?
■やりがいのある仕事だから
■自分には向いている仕事だと感じているから
■仕事内容に興味が持てるから
■現在持っている資格を生かしたいから
■経済的に働かなければならないから
(出典:an report)
などがあるそうです。
仕方なくという理由もありますが、注目は
「やりがいのある仕事」
「自分には向いている仕事だと感じている」
「仕事内容に興味が持てる」
です。
これは美容師という仕事が本当に好きで、きちんとやりがいを見いだせた人です。
美容師だけではなく他の職種でも通ずるものがあります。
このやりがいなどは本人が見出すこともありますが、やはり周囲の影響が大きいと言えます。
今後の美容業界を考えると、現場で頑張っている美容師や経営者は、これから美容師を志す卵達のためにもやりがいを見つけられるような環境を作ることが大切なように感じます。
まとめ
(出典: pixabay)
今回は美容師の離職率について考えてきました。
美容師の仕事はイメージ的に大変で離職率も高い傾向にありますが、その中でも続けている美容師はたくさんいます。
たまたま環境に恵まれてやりがいを見いだせた人もいたり、美容の仕事を使命感に感じて自らを奮い立たせたりした人もいるでしょう。
でもこれはまれなケースです。
美容師の離職率を減らすのに大切なのは、きちんと美容師の仕事の楽しさを教える環境です。
もちろん、楽しさだけ教えてもプロの現場として甘さが出ますので、しっかりと仕事の厳しさを教えるのも大切です。
今後の美容師人口を大きく減らさないためにも、辞める理由を解消する必要があります。
そのためには大きく言うと
■労働環境の整備
■定期的にコミュニケーションをとる
ことは今後ますます必要になってくると考えられます。