「いつかは自分のサロンを持ちたい!」
と夢見ながら、日々サロンワークに精を出している人は今も昔も多いのではないでしょうか?
「木のぬくもりを感じる内装で、できれば都内で開業したい」
などぼんやりした構想は持っていますが、実際開業するまでどんなことが必要かはご存知ですか?
今回は開業の流れの中からポイントとなる8つを絞り説明していきます。
将来独立を考えている人は必見です!
①美容業界の今を知る
まずは、美容業界の現状を把握しましょう。
全国美容室数・美容師数
最新の厚生労働省統計(平成28年11月公表)によると、全国の美容室軒数は240,299軒で前年より2,744軒増えており、美容師数は504,698人で前年より8,001人増えついに50万人を超えました。
都道府県別にみると増減はありますが、東京・神奈川・埼玉・千葉の関東4県や愛知・大阪・兵庫・福岡など西方面では増加が他県に比べ集中しています。
(出典: 「衛生行政報告例」(厚生労働省)http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001031469)
競争が激しい美容業界
つまり全国的にヘアサロンの競争は激しいですが、一部都市部で開業する場合はもっと厳しい状況ということを把握しておきましょう。
また、1,000円カットなどのカット専門店、カラー専門店、縮毛矯正専門店などのメニューを絞るサロンや、逆にトータルビューティーサロンの様に豊富なメニューでお客様を動員するサロンなどもあります。
ごく一般的なサロンをオープンしても難しいため、開業する際は情報に敏感になり経営戦略をよく練る必要があります。
一昔前は開業すればある程度の売り上げは見込めましたが、現在ではそうはいきませんので、これから開業する人は覚悟が必要です。
②開業の方法を決める
昔のサロンは開業するときに一からすべて作り上げてきましたが、現在は開業方法も選べます。
自分の今の状態に合わせて検討してください。
社内のれん分け/フランチャイズサロン
まずはこの二つ。
似ているようで微妙に意味合いが違います。
社内のれん分け
これまで勤めてきたサロン(本部)と契約を結び、そのサロンのノウハウやブランド名などを使用して開業する方法です。
基本的に開業する際にかかる内装費や器具商材などの初期費用などは開業する本人の負担となり、ノウハウやブランド名を使用する代わりにロイヤリティを本部に支払います。
メリットは既に出来上がっているノウハウなどが使用できるので、開業当初から安定した経営が望めます。
デメリットは初期費用がかかるので、費用の準備が必要になりそれなりのリスクを負います。
フランチャイズ
基本的にロイヤリティが発生するということは同じですが、勤務経験のない本部と契約を交わします。
メリット、デメリットについてものれん分けと基本的に同じです。
しかし、のれん分けは自然とサロン運営などが身に付きますので会社の内情について把握していますが、フランチャイズの場合お互いを知らない同士で契約になるため、契約後の食い違いなどでトラブルになる可能性があります。
そのため、契約時に内容をよく確認してから契約に進む方が良いでしょう。
業務委託型サロン
業務委託型サロンというのは、開業者と経営する上でのパートナーが役割を分担する開業方法です。
開業者は初期投資などのリスクを負わずにサロン経営に携わることができます。
パートナーは初期投資などのリスクはあるものの実際のサロン運営は開業者に委託しているのでそのリスクはありません。
開業者は売り上げがないと利益が出ないですし、パートナーは初期投資の回収が終わるまでは徹底的なサポートをしなければなりません。
お互いにメリットやリスクはありますが、開業者の場合サロン運営に自信はあるが経営者としては経験不足なためサポートが必要というときに有効的といえます。
完全オリジナルサロン
完全に1から自分で開業をおこなう方法です。
とにかく理想のサロンを作りができますので、昔から構想があった人は理想的な方法と言えるでしょう。
しかし、資金集めや物件探し、広告宣伝、器具などすべて自分で手配しなければいけません。
特に資金面でのリスクが大きいですが、利益を出せばその分自分に返ってくるのでやりがいはあるでしょう。
③サロンコンセプトを決める
サロン開業を成功に導くためにはまずコンセプトを考えましょう。
とにかくサロンをオープンさせ、お客様をこなすだけのサロンでは長く続きません。
サロンのテイストやテーマだけではなく、具合的なビジョンを明確にしましょう。
⑴事業理念
どのような理念をもちサロン経営をしていくか、サロンを通してどう社会に貢献するかなどを考えます。
⑵事業内容
事業理念をもとに目指すサロンのイメージや売り、特徴を考えます。
⑶サロンの方向性
お客様への約束事です。
「私たちは美容のプロとして技術、接客、礼儀作法を徹底します」
などといったことです。
⑷ターゲット客
どういう人をターゲットにするのか。
「20代中心の流行を敏感にとらえる世代」
「30~40代のこだわりをもつ女性」
などコアターゲットを設定します。
⑸具体的に提供するサービスや付加価値など
「大人のための隠れ家がサロン」
「癒しのBGM」
「店販商品はすべてオーガニック」
「カラーリングに特化したサロン」
など具体的にお客様に提供する内容を考えます。
漠然としたコンセプトではなく、具体的にどうしていきたいのかじっくり検討しましょう。
④戦略を考える
開業するにあたり売り上げ目標を必ず決めると思いますが、その目標に対してどのように達成するかという戦略を立てるのは今後の経営が軌道に乗るかを左右します。
売り上げは「客数」「客単価」によって大きく変わります。
さらに客数は「新規客」「既存客」に分けられ、客単価は「技術単価」「店販単価」に分けられます。
この細分化した項目に目標数値を設定し、どのような方法で達成するかを考えます。
新規客
新規客を増やすためには以下の5つが考えられます。
⑴紹介客を増やす
一度来店していただいたお客様に、友人、家族などを紹介してもらえるシステムを作ります。
具体的に「紹介割引」「バースデー割引」「同行来店割引」などの割引システムを活用し、特典を強調し紹介してもらえるような環境を作ります。
⑵口コミ客を増やす
ネットが普及している現在は口コミで客数が左右されます。
特にSNSでの拡散はとても有効的です。
ブログ、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムなど媒体はさまざまあります。
また、ホットペッパービューティーなどの専門サイトでも口コミがありますので活用できる幅は広いです。
⑶販促物で増やす
販促物は効果的にサロンの宣伝を行うもので、「紙媒体」「ネット媒体」があります。
紙媒体は折込みチラシ、ポスティング、ハンティング、街中にあるフリーペーパーなどがあります。
ネット媒体はホットペッパービューティーなどのサロン検索サイトやオリジナルホームページなどです。
記載するのは、価格やマップなどの他にもサロンの売りやスタッフ紹介などさまざまな方法でサロンに興味を持ってもらえるように仕掛けます。
⑷外観の工夫で増やす
これは通りがかりの人に効果的にサロンを紹介するものです。
立て看板、店先にチラシを設置するなどが考えられます。
ガラス張りのサロンはサロンの外から見て情報が分かりやすいのでとても入りやすくなるのだそうです。
⑸営業活動で増やす
近隣のショップや商業施設、企業に営業をおこなうことです。
チラシを置いてもらうことはもちろんですが、企業の福利厚生の一つとしての割引価格で利用できると提案します。
地域密着サロンを考えているのであれば近隣の企業との連携で地域活性化にも繋がります。
既存客
既存客を増やすためには
■失客率を下げる
■来店周期を短くする
■リピート率を上げる
■リターン客(しばらく来店されていないお客様)を増やす
■回転率を上げる
これにはそれぞれ不満要素を減らすことが大事で、「技術力を一定にする」「接客力を上げる」「ホームケア商品を充実させる」などが考えられます。
立地条件や定休日などは変えられない事実ですが、この3つは変えられる要素でありお客様が最も不満に思うことでもあります。
技術単価
高単価にするためにはお客様にそれだけのお金を出しても良いという価値を提供する必要があります。
■最新薬剤・機器の導入
■スタッフの経歴
■使用薬剤の品質の高さをアピール
■フォトシューティングの作品をホームページやスタイルブックにまとめてアピールする
などです。
経済状況が悪い中、お客様もサロンに落とすお金はシビアに考えていますので、技術以外の付加価値をお客様に与えましょう。
店販単価
店販はお客様の自宅でのケアにはとても大切で、次回来店時の髪の状態を左右します。
あまり商品を売るのが好きではないという人もいらっしゃいますが、まずは店販に対する意識を変えましょう。
そして、商品知識を身に付け、営業トークを磨く必要もあります。
また、店内ポップなどで商品を効果的にアピールし、ホームページやSNSもフル活用しましょう!
⑤開業資金を調達する
(出典: http://inshokujuku.jp/howto_kaigyoshikin/)
開業するにあたり必要になるのが資金です。
資金がなくては物件も借りられませんし、材料や器具も買えません。
また、これまでのコツコツ貯めてきた貯金では限界があります。
そこで、資金を借りて開業するのがベストではあるのですが、どこが貸してくれるのか?
大きく分けると2つあります。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は政府が100%出資している金融機関でサロン開業において最も使われます。
担保や利息の相談、長期の返済でも固定金利などメリットが多くあります。
そして、美容室開業者にとって一番のメリットはサロンの営業許可を取る前に融資を受けられるということです。
つまり、開業にかかる費用を建て替える必要がなく、資金面で安心を得られます。
しかし、融資を受けるには「創業計画書」という書類を書かなければなりません。
内容は
■創業の動機
■事業の経験
■取り扱いサービス
■資金の調達方法
■事業の見通し
などを記入します。
創業計画書の例は下記URLを参考にしてください。
これを提出すれば100%融資を受けられるわけではありません。
気になる人は申し込みの流れやその他気になることがあれば、ホームページなどで確認してみてください。
銀行
もう一つは銀行です。
やはりお金のことは銀行に頼るのが一般的ですが、これから開業し銀行との取引が浅い場合は「信用保証協会」の保証が求められます。
信用保証協会は事業資金の融資を受ける際に融資を受けやすくなるようにサポートする機関です。
全国各地にあり条件もさまざまで、利用者の9割が中小企業です。
気になる人はホームページで確認してみてください。
⑥物件選び
開業する際に一番費用がかかるのが、物件や内装工事などの費用です。
そんな初期費用も物件によっては抑えられる可能性があります。
スケルトン物件
(出典: http://www.mizken.jp/story/s_shop/s_parlor.html)
内装設備がなくまっさらな状態です。
自分の思い通りに内装ができますので、こだわりが反映できます。
しかし、内装や設備などを開業者が手配するので工事費もかかり、開業までに時間もかかります。
居抜き物件
(出典: http://blog.livedoor.jp/se_kasama/archives/52061958.html)
以前にもヘアサロンがあって、内装や使用機器などがそのまま残っている物件です。
すべてそのまま使える場合は開業までの期間が短縮されますし、初期費用も抑えられます。
また、スタッフとお客様も引き継げれば最初から安定した経営が可能です。
しかし、内装が思い通りとは限りませんし、少し改装するつもりが思った以上に費用がかかってしまったということもありますので、注意が必要です。
また、設備も古くなっていれば修理しなければなりませんので、必ずしも費用が抑えられるとは限りません。
いずれの物件の場合もメリット・デメリットがありますので、どちらが自分の状態に適しているか慎重に判断しましょう。
⑦人材採用
(出典: http://lives99.com/)
開業し一人でサロンワークをおこなうのであれば問題ないですが、ある程度の規模を考えているのであればスタッフを採用しなければなりません。
なるべく優秀な人を採用したいですが、現在の美容業界は売り手市場でどのサロンもスタッフが足りていない状態です。
足りてない中で、さらに優秀となると果てしない様にも思えますが、きちんとしたスタッフを採用しないと今後の経営に大きく響きます。
求人募集方法
では、採用するにはどんな求人方法があるのか?
■ハローワーク
■美容専門学校
■知人の紹介
■紙媒体
■ネット媒体
■人材紹介会社
ざっと挙げるとこのようになります。
ハローワーク・美容専門学校・知人の紹介の場合の費用は無料ですので、まずはこのあたりに募集を出しておきましょう。
紙媒体・ネット媒体・人材紹介会社は有料ですので予算と相談して募集をかけましょう。
採用される側も見ています
ここまでは採用側からの視点でしたが、採用される側もシビアにサロンを選びます。
面接や募集要項をみて合わなそうなら、向こうから断られることもあります。
給与・勤務条件・サロンの教育制度・福利厚生などチェックされることは多数あります。
また、勤務体系も正社員・契約社員・派遣社員・パート・業務委託などさまざまあり、ライフスタイルに合った働き方を求められますので採用する際はきちんと話し合う必要があります。
⑧広告・宣伝方法
サロンを開業するときに、宣伝ということは非常に大切なことです。
現在は宣伝方法がたくさんありますが、大きく分けると「紙媒体」と「ネット媒体」に分けられます。
紙媒体の宣伝・広告
紙媒体はかなりの種類があり、以下に記します。
■チラシ(料金やメニューなどが分かるもの)
■メンバーズカード
■名刺
■紹介カード
■DM(ダイレクトメール)
■新聞折り込み
■フリーペーパーなどのクーポン紙
などがあります。
最低限必要な紙媒体
すべて取り入れる場合はそれなりの費用もかかります。
最低限必要なのはチラシ、メンバーズカード、名刺は最低限作りましょう。
来店してくださってお客様にポイントなどが貯まるメンバーズカードや担当者の名刺を最低限差し上げましょう。
紹介を促すために紹介特典のカードを作り、それを渡すことも宣伝となります。
また、新聞折り込みやフリーペーパーなどのクーポン紙は費用がかかりますが、オープン時のお客様を取り込む時期にサロンを知ってもらうには重要です。
オープン当初に来店してくださったお客様は意外と長く通ってくださることがありますので、積極的に宣伝しましょう。
ネット媒体
ネット媒体も現在はさまざまです。
■ホームページ
■SNS(ブログ、ツイッター、フェイスブック、インスタグラム等々)
■クーポンメディア
などがあります。
ネット媒体はフル活用しましょう
ホームページ作成は自分でできる人は少ないと思います。
外部に頼むので費用がかかりますが、最近のお客様のサロン選びの基準は一度ネット検索をして、良さそうであれば行ってみるという人が多いです。
ホームページはサロンの顔と呼んでもいいくらいですので、作成は前向きに考えましょう。
最近はSNS上で作品を公開して広く知ってもらう効果的な宣伝方法もあります。
また、SNSは人柄も垣間見えるので、サロン選びの基準になることがあります。
スマートフォンが普及し、よりネットが近い存在になっていますので、活用した方が良いでしょう。
広告サイトの落とし穴
クーポンメディアなどの広告サイトは利点が多くあります。
開業したてのサロンのホームページはわざわざ見ませんが、広告サイトですとたくさんの人の目に触れる機会が多くなり、新規客を増やすのに効果的です。
そして、ネット予約に対応している広告サイトもありますので、利用者にとってもサロンに予約する敷居が低く利用しやすいと言えます。
しかし、利用者は割引などに惹かれて中々サロンに定着せずリピートしにくいというデメリットもありますので事前に理解しておきましょう。
まとめ
今回は開業についてのポイントを紹介してきました。
長い記事を最後まで読んでいただきありがとうございました。
各項目さわり部分だけを紹介してきましたが、まだまだ掘り下げる必要があります。
また、この他にも「保健所の認可」「開業届」「保険」「器具・材料準備」など開業するまでの流れはいくつかありますが、今回は優先的に抑えるポイントを8つに絞りご紹介させていただきました。
開業するということは期待がほとんどですが、不安も付きまといます。
なるべく失敗しないように資金準備や次に何をやるべきかの計画をしっかりおこないましょう。
そして、一人で悩まずにたくさんの人の助けを借りることも、これから経営者となるにあたり必要な資質でもあります。