美容業界において今、ある一つの勢力が凄まじいスピードでシェアを拡大しています。
それが「元リクルート(元リク)」出身の経営者たちが牽引するサロンチェーンです。
ホットペッパービューティー(HPB)などの美容プラットフォームで営業やコンサルティングを経験した彼らは、自らはハサミを持たない代わりに「データ」と「マーケティング」という強力な武器を持っています。
本コラムでは、2026年3月時点の最新データをもとに、急成長を遂げる元リク企業5社の実態と、彼らが美容業界を勝ち抜く理由を紐解きます。
なぜ「元リク」経営のサロンは強いのか?
各社の軌跡を分析すると、従来の「人気美容師が独立してオーナーになる」という業界の王道ルートとは全く異なる、再現性の高い戦い方が見えてきます。
圧倒的な集客ノウハウとデータドリブン経営
リクルート時代に培ったHPBのアルゴリズム理解、SEO、Web広告、CRMの知見を自社サロンの経営にフル投入。
集客コストの最適化において、他を寄せ付けない強さを誇ります。「職人」ではなく「経営者」としての視点
「美容師を雇い、彼らが働きやすい環境を提供する」というビジネスモデルに徹しています。
そのため、高賃金化や労働環境の改善に積極的で、人材定着率の高さが多店舗展開を支えています。ニッチ市場の開拓とFC展開への嗅覚
後発の企業は、競争の激しい総合美容室を避け、「眉毛専門サロン」などのニッチ市場に特化。そこへフランチャイズ(FC)モデルを掛け合わせることで、驚異的なスピードでの全国展開を実現しています。
急成長を牽引する「元リク」企業5選
全国で存在感を放つ、注目の元リク企業5社を紹介します。
① 株式会社ファイブスター(美容室)

引用:FIVESTAR
代表: 佐久間 正之 氏
経歴: 慶應義塾大学大学院(MBA)修了。
化粧品会社を経てリクルートに入社。
美容領域の企画営業で圧倒的な実績を上げ、29歳で退社。
2011年に地元・福島で起業。- 創業・設立: 2013年7月25日 株式会社ファイブスター設立。
規模: 約50店舗(2026年2月PIVOT出演で確認)
特徴: 東北エリア有数の大型ヘアサロングループで、シンガポールにも進出。
2025年1月には新卒初任給を全国一律25万円に引き上げ、業界の労働環境改善をリードしています。
PIVOT公式チャンネルでの「逆算経営」も話題に。- 企業サイト: https://www.fivestar.hair/
② 株式会社Grit(美容室・アイ・エステ)
代表: 與那 安貴 氏
経歴: 2012年に大学院を卒業後、リクルート系の広告代理店に入社。
ホットペッパービューティーの営業として、表参道・原宿エリアのトップクライアントや有名サロンの事業拡大をマネージャー職として支援。
2019年に独立。創業・設立: 2019年創業
規模: 35店舗(120名)※2024年度
特徴: 東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪の主要都市に出店。
美容室だけでなく、アイサロンやフェイシャルエステなど複数業態を展開し、全国100店舗を目標に掲げています。- 企業サイト: なし ※2026年時点
③ 株式会社tenection(美容室)

引用:tenection
代表: 杉本 遼平 氏
- 経歴: 関西の大手サロンで7年間美容師として勤務した後、リクルート(ホットペッパービューティー事業部)に転職し2年間営業に従事。
「現場」と「媒体」の両面を知る強みを活かし起業。 - 創業・設立: 2020年1月1日(INCE HAIR創業) / 2021年12月2日 株式会社tenection設立
規模: 21店舗(売上高10億円 / 美容師180名)
特徴: 神戸など関西を中心に展開。
2020年の創業からわずか数年で20店舗超え、売上10億円を達成する驚異的な出店スピードを誇ります。- 企業サイト: https://www.tenection.co.jp/
④ 株式会社LUMICIA(眉毛サロン)
代表: 赤司 直樹 氏
- 経歴: 住友林業(注文住宅営業)を経て、2015年にリクルート入社。
8年間にわたりホットペッパービューティー全国大手法人の担当や営業マネージャーを歴任し、30回以上の表彰を受ける。
2022年に眉毛サロンで独立。 - 創業・設立: 2022年2月創業 / 2023年5月 株式会社LUMICIA設立。
規模: 16店舗 ※2026年3月時点
特徴: 激戦区の美容室ではなく、あえて眉毛専門サロン(アイブロウ)に特化。リクルートで培ったWeb広告戦略とデータドリブン集客をFC展開に全面投入しています。
- 企業サイト: https://lumicia-tokyo.com/
⑤ 株式会社神楽(メンズ眉毛サロン)

引用:ADDICT
代表: 福田 雄二 氏
- 経歴: 神戸大学卒業後、リクルートに入社(HPB営業)。
その後シンガポール移住を経て、帰国後に広告代理店を起業。
そのノウハウを活かしてメンズ眉毛サロン「ADDICT」を立ち上げ、爆速で多店舗展開を実現。 - 創業・設立: 2022年7月12日 株式会社神楽設立
規模: 約20店舗超(年商10億円)
特徴: 「メンズ眉毛」という成長市場にフォーカス。
2025年夏には全国7店舗同時オープンという離れ業をやってのけ、REJOB AWARD 2025では「働きがいのある企業」部門で全国1位(GOLD賞)に輝きました。- 企業サイト:https://addict-gr.com/
番外編:プラットフォーム営業の強さは共通

引用:Monopoly
元リクではありませんが、同様の「美容プラットフォーム営業→起業→多店舗展開」というパターンで急拡大しているのが、株式会社Monopoly(代表: 森井 健太 氏)です。
楽天ビューティーの営業出身である森井氏は、2019年に奈良で1店舗目を創業。
そこから怒涛の勢いで出店を重ね、現在では12都府県に32店舗を展開。
長期目標として「1,000店舗」を掲げており、プラットフォーム営業で得た知見がサロン経営においていかに強力な武器になるかを証明しています。
代表: 森井 健太(もりい けんた)
経歴: 立命館大学卒業後、楽天にて「楽天ビューティー」の法人営業を担当。
その後、ユニクロで店舗経営を学び、フィリピンでの起業・売却を経て、2019年に美容室経営に参入。創業・設立: 2019年10月(1号店オープン)
- 企業サイト: https://monopoly.salon/
まとめ:業界アップデートの起爆剤に
「元リク」をはじめとするプラットフォーム出身者たちの参入は、単なるプレイヤーの交代ではありません。
どんぶり勘定になりがちだったサロン経営に「データ分析」を持ち込み、長時間労働・低賃金が課題だった美容師の「労働環境」を劇的に改善しています。
彼らが牽引するこのムーブメントは、美容業界全体を次のステージへと引き上げる起爆剤となるでしょう。
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