美容室の売却・譲渡には開業と同程度の精神的コストがかかると言われています。
「美容室売りたい!売っちゃおう」と簡単なものではなく、下記のようなことが売却時の懸念事項として存在しています。。
- 政策金融公庫や信用保証協会での借り入れの残額が数百万ある
- 雇用してしまったスタイリスト・アシスタントがまだ存在している
- 不動産・物件の契約期間が満了しておらず、撤退する場合費用が発生する
開業時に相談に載ってくれたディーラーさんやメーカーも、取引高が減るdかえなので廃業・閉店時には相談に載りづらいのです。
そして「誰に相談して良いかわからない」ままになってしまうことが多いです。
今回はそんな美容室を売りたい・売却を考えているサロンオーナー様向けに「売却時の注意点」をまとめさせて頂きました。
そもそも何処で譲渡・売却すればいいの?という質問や「美容室譲渡のリアル」にも答えてますので、ぜひご一読ください。
そもそも美容室の事業譲渡・売却とは?
美容室の譲渡とは、物件や設備ごとを他者に譲ることです。
美容室オーナー様は「一時的なキャッシュ」を得る事ができます。
事業譲渡と居抜きとして売却するパターンの2つがあるのでご説明させて頂きます。
また、本記事の最後には直近の新しいモデル「運営委託」をご紹介します。
かなり新しく、投資的な側面もあるのでぜひ最後までお読みください。
居抜き物件としての売却。造作譲渡とは?
こちらは物件のみを譲る場合ですね。
個人店などでお一人でやられているサロンの方などになるかと思います。
この場合は、物件の販売時に造作譲渡と呼ばれる売上が発生します。
これはつまり、店舗の設備を販売した費用ということですね。
造作譲渡費用の目安は購入時の1/10程度になるとお考え頂いた方が良いかと思います。
基本的には設備の状態をみて造作譲渡の費用を決めるのですが、きれいな場合は減価償却ときに使用する耐用年数を適用します。
基本的に美容室の法定耐用年数は5年と法律で定められております。
例えば新品のシャンプー台を4年使っている場合、1-4/5=1/5の価値になります。
100万の品物だったら25万円ということですね。
とはいえ使えるものも5年だったらまだまだ多いのでそのあたりは考慮して造作譲渡の費用は決められていきます。
不動産会社にもよるので、交渉力のある不動産会社に依頼できると吉ですね。
事業譲渡やM&Aとしての売却。
こちらは「店舗+スタッフ+その他資産」を売却するというパターンですね。
営んでいた事業そのものを売却することを言います。
つまり売上のある状態での売却ですね。
こちらの売却費用の算出はDCF法と呼ばれる評価額の算定などを使用します。
このあたりは専門的な話になるので参考リンクを御覧ください。
赤字店舗でも売れたりするメリットがありますね。
あとは借金ごと引き継げる場合もあるので造作譲渡よりも有利なパターンもあります。
■参考リンク
企業価値の評価方法 4 ~インカムアプローチ(DCF法)
美容室の居抜き売却vs事業売却の比較
じゃあ居抜きで売るのか、事業売却で売るのかどっちが良いのでしょうか?
下記にメリットとデメリットを比較してみました。
- 収益性
- 手間
- 気軽さ
の3点で比較しています。
居抜き物件の場合は、収益性が並で手間・気軽さは高くなっております。
居抜きの場合、デューデリジェンスと呼ばれる評価額の試算が設備のみで簡易的に行うことが出来るからです。
事業売却は収益性が最高評価ですが、手間と気軽さで言うとかなり大変と言われています。
事業価値評価を行うためには決算資料や過去の経営など全て明らかにする必要があります。
明らかにした結果、売上が立ちにくいと判断され売却に至らないケースもあります。
うまくいけば良いのですが、急いで売りたいときには少し向いていないかもしれません。
美容室を売りたい!どうすればいい?
基本的には専門家に相談するのが早いと言われています。
専門家に相談後のフローを下記にまとめてみました。
基本的に同じなのですが、買収のほうが「書類」の取りまとめが多く少し大変です。
両方ともに少し大変そうですね。
最近のトレンドであるもっと楽に譲る方法が「運営委託モデルです。
最後までお読みくださいませ。
「美容室売却」のリアル。10年目の美容室オーナー事例
美容室オーナー様の体験談をご紹介致します。
先日当方が経営している美容室を売却いたしました。東京で美容室を開くのが夢で、上京して早10年が経ち、そこそこの地位にもなりました。ここ最近、すごいスピードで美容室の数が増え、しかも低価格で仕上がりも良いという高評価のライバル店が立ち並ぶようになりました。このままではいけないと、思い切って会社売却を決め、新しいことにチャレンジすることにしました。 会社売却は、かなり悩みましたし、寂しい思いもありましたが、それよりももっとお客様に満足を与えられるサービスができるお店を経営したいという思いが勝りました。その結果、ヘッドスパに特化したエステサロンを開くことにしたのです。 今まで培ってきたヘアケアの知識を存分に生かし、ストレスフルな社会で生きているお客様に癒しを与えられるサービスを日々考えて、楽しく仕事しています。
美容室の出店ラッシュが続き競争が激化している中で、
こういうケースはかなり増えていると思います。
現在美容室の数は全国で約25万店舗にまで増えようとしています。
「個人の売上を維持しつづけ経営するのか」「売却して他のことをやるのか」
この意思決定はかなり重たいですね。。
美容室オーナー様の精神的なサイクルは下記のようなものだと言われています。
大体1~3年目まではノリノリ期、4~7年目までは安定期、7~10年目が停滞期です。
同じ美容室のスタッフが出産したり、辞めたりし、孤立化するオーナーも増えていると聞きます。
1人美容室だけど、座席が5席以上あるというオーナー様も多いのではないでしょうか。
【おすすめ】譲渡ではなく美容室の運営委託という形式
これまで紹介した中で、全く別の「運営委託」というスタイルが美容業界に現れました。
運営委託のメリットは下記の3点です。
- そのままサロンに残ることが可能
- 固定費、維持費などは運営委託会社が全負担なのでノーリスクで経営可能
- 営業利益の一部が運営委託側企業から還元されるので手取りが以前より増える
という点がメリットだと言われています。
では運営委託とはどういう形式なのでしょうか?
美容室の運営委託とは?
今まで使っていた美容室を、そのままの状態で運営のみを他企業へ任せるモデルです。
図でまとめると下記のようなイメージです。
運営委託会社は「費用の負担」「集客」「求人」を行い、収益の向上を支援して頂けます。
まさに美容室の運営部分を担ってくれます。
美容室オーナー様は従来通り店舗の管理を行うのみ。
上記がイメージ図になります。
営業利益のいくらかが分配され、プラスで御自身の売上も貰えるというのが運営委託型です。
下記で運営委託型のシミュレーションを行ってみました。
個人店として8席を運営しているという想定です。
売上は100万円で賃料など経費が50万円ほど。手取りは50万円でした。
これを運営委託する場合、経費は薬剤費などの10万円のみ。
残りは全て手取りになるので90万円がご自身の手取りになります。
さらに、委託利益の10-20%もご自身の利益に反映されます。
合計106万円となりました。
こちら個人店として経営しているときと比較すると年間672万円の収入の差が生まれます。
なんということでしょう。。。
こちら実施している企業が限られますので、KAMIUのLINE@で是非ご質問ください。
売却のときに使えるおすすめサービスをご紹介
では居抜き、M&A売却でおすすめのサービスを紹介させて頂きます。
実際に全てのサイトを使用したことはないのですが、是非ご参考ください。
美容室の居抜き売却、譲渡サービスおすすめ2点紹介
サロン不動産ネット
こちらは東証一部上場のビューティガレージ社が提供するサービスです。
恐らく美容室向けの居抜き物件数は日本で最大規模のサイトだと思われます。
つまり、「買いたい方もあつまってる」サイトなんですね。
大手のFC店などが顧客にいると思われるので、すぐに買いたい方はサロン不動産ネットにご登録頂いてはいかがでしょうか。
サロンプロデュース
サロンプロデュースさんです。
サロン不動産ネットの次に居抜き系メディアでは有名ですね。
代表の関口さんはかなり面倒見が良いと大評判です。
初めて美容室を売りたいと思った方などはおすすめかもしれません。
美容室のM&A・売却サービスおすすめ2点紹介
サロン不動産ネット
先程も紹介したサロン不動産ネットです。
実はM&Aの仲介もサロン不動産ネットでは行っているとのことです。
M&Aや事業譲渡の場合でも買いたい方は多くいると思うので、恐れくかなり引き合いはあります。
速攻で商談成立させたい!という方はまずサロン不動産ネットへ相談してみてはいかがでしょうか。
WEBサービス内に居抜きに関する様々な情報もあるので是非御覧ください。
Beauty M&A
美容M&Aどっとこむさんです。
ここはかなり秘密裏にやられているようで情報があまりございません。。。
ただ成約自体はかなり起こっているのでもしかすると何らかのFC店などがネットワークにあるのかもしれません。
M&Aや事業譲渡されたい方は一度相談してみてはいかがでしょうか。
サロン譲渡・売却時に気をつけること
サロンの譲渡時にトラブルはつきものです。
必ず下記の事項に注意して、取引を行ってください。
直接取引の場合は、下記の注意点を知らずに契約してしまったりするので本当に危険です。
居抜きの譲渡・売却で気をつけること3点
基本的に居抜きで揉めそうなことをまとめてみました。
居抜きで売りたい方は下記に気をつけて契約を勧めてください。
- 新しい借り主は「原状回復義務(スケルトン義務)」を認知してるか?
- 前の屋号は使わない契約になっているかどうか
- 契約書内に「金額」「契約日」「入金日」が明記されているか
1に関してですが、賃貸物件で内装を加えている場合は基本的にお店をスケルトン状態(内装前の状態)に戻す義務が契約書に盛り込まれている事が多いです。
その場合、解体費が坪数×5~10万円ほどかかる場合があります。
こちらの内容を譲渡先の新しい賃貸主が理解しているかが重要です。
2.に関してですが、「屋号」を引き継ぐのか引き継がないのかですね。
基本的に居抜きの場合は経営譲渡ではなく、「造作譲渡」と呼ばれる設備のみの売買です。
屋号を売る場合は屋号の費用も上乗せにして良いと思います。(あまり聴いたことないですが。)
必ず確認しましょう。
3.は基本的なものですね。契約書に必要なことが含まれているか注意してください。
事業譲渡・売却・M&Aで気をつけること3点
事業譲渡の場合、仲介会社が両者から数%を受け取ることが大変多いです。
事業譲渡で売りたい方は、下記の事項を必ず確認しましょう。
- 屋号の引き継ぎは行うのか
- スタッフの条件はそのまま売るのか、自分はどうなるか
- M&A仲介会社の手数料はいくらか
屋号の引き継ぎは基本的に行うと思うのですが、リニューアルする可能性もあるので確認しましょう。
また、スタッフの条件はそのままか、自分はオーナーとして残る必要があるのか確認しましょう。
ご自身も何年かは在籍することという契約も稀に存在しています。
買収側は「あなたを買っている」パターンもあるので、自分のことに関しても必ず確認しましょう。
あとは手数料ですね。1億円以上だと10%程度の報酬(1000万!)を求めてくるM&A会社もあるので、必ず事前に確認してください。
M&A会社には人当たりがよく頭の回転が早い人が多いので、巻き込まれないようにお気をつけください。
そもそもどの譲渡方法が良いのか?
下記に「運営委託」「業務委託」「居抜き」の比較表を貼っておきます。
運営委託がかなり美味しい気がしますね。
展開可能なサロンが限られているので、KAMIUまでお問い合わせくださいませ。
最後に。美容室を売りたい方へ。
以上で美容室を売りたい方向けの居抜き・売却・M&Aのまとめを終わらせて頂きます。
今回ご紹介した居抜き・売却以外にも「運営委託」という流れがきており、多くの選択肢が選べる状態になっているのは羨ましく思います。。。
もし「美容室を売りたい」と考えている方が読まれているようでしたら、最後に下記はご注意くださいませ。
今のスタッフがどう思うか、どうなるかという点です。
みんなを幸せにするために美容室を皆様オープンされたのだと思います。
自分の巻き込んだ方々が、売却先も幸せになるのか是非一度お考え頂けると幸いです。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
引き続きKAMIUをよろしくお願い致します。