根深い美容師の引き抜き!それってありなの!

[記事内外にPRを含みます]

長い間人手不足が続いている美容業界。
求人媒体も紙からネットへと変わってきていますが、「優秀な人材が集まらない」と感じたことは、ヘアサロンを経営する人なら一度は感じたことがあるかもしれません。
また、「今よりも条件が良いところがないかな」と転職活動したことのある美容師は多いのではないでしょうか。

そんな両者の悩みに応えるものとして“引き抜き”があります。
お互いの利害関係が合致することで成立するのです。
でも“引き抜き”と聞くとなにか悪いことでもしている錯覚に陥ります。

今回は美容師の引き抜きについて、ありなのか?なしなのか?解説していきます。

引き抜きについて


(出典:https://uchicomi.com/senden/article/chintai/agreement/owner.html
まず、最初に引き抜きとはどういうことを指すのか?

引き抜きは能力などが優れた人材を勧誘する行為のことです。

例えば、A社とB社がありA社にはCさんという優秀な人材がいます。
このCさんの優秀ぶりを聞きつけたB社は、会社の売り上げを上げるためにどうしてもCさんが必要でした。
そこで、好待遇や役職などのポジションを約束するかわりにうちの会社に来てくれないかと誘いました。
こうした行為を引き抜きと言います。

一般的には能力が優れている場合に引き抜きされますが、モデル・タレントなどの芸能関係やホスト・ホステスなどの人気商売では容姿を基準に引き抜きされることもあります。

引き抜きはコスト削減に!?

優秀な人材を育てるには新人の頃からじっくり育てるというのが基本です。
確かに新人から育てることで優秀な人材に育つ可能性は大いにありますが、絶対ではありませんし育成には時間も要します

どの企業も優秀な人材育成には力を入れていますが、既に一定の能力を持った者を引き抜くことで結果的には育成コスト削減に加えて、売り上げアップも見込めるのです。

絶対に相性が良いとは限らない

ただし、優秀で実績がある人材を引き抜いたとしても、その者が必ずしも能力を発揮できるとは限りませんし、社風やすでにいる従業員との相性が良いのかは別の話であり、思い違いということは大いに考えられます。

また、引き抜かれた方も入社してみて条件と違っていると感じたり、相性が悪いと感じたりすることもあります。
そのため、両者ともある程度のリスクがあるということを覚えておきましょう。

一般企業ではよくある引き抜き

実は引き抜きは一般企業ではよくある話。
どんな方法で引き抜かれるのか?

■知り合いから直接声をかけられる
■業界の噂になり引き抜かれる
■SNSを通じて引き抜かれる

などが考えられます。

自分が意図しないところで話が進んでおり、最終段階の条件提示でようやく声がかかります。
または、あらかじめ打診しておいて反応を見る場合もあります。
引き抜く側はどちらにせよ、慎重になっていることに変わりはありません。

美容業界の問題から引き抜きについて考える

では、美容業界でも引き抜きがおこなわれているのでしょうか?
真相に迫る前に、美容業界の問題から引き抜きの現状が見えてきます。

深刻な美容学生の減少

美容師になるには必ず美容学校を卒業し、国家試験の受験資格をもらわなければいけません。
美容業界の問題の一つに学生数の減少があり、将来の美容師が少なくなることで人手不足が叫ばれています。
下記グラフは理・美容学生の卒業者の推移です。

◆平成28年度理・美容学生卒業者数(人)◆

理容美容
10年度3,46117,430
112252,397
122,21314,988
132,13216,756
141,95019,045
151,90320,560
161,61222,790
171,43324,338
181,51723,124
191,27622,282
201,14020,971
211,02620,064
2272017,269
2367415,795
2479616,129
2573816,132
2682715,961
2790916,080
2866416,125


(出典:「学校基本調査結果」(文部科学省)(http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001011528))を加工して作成

平成11年度は美容学校が2年制へと変わる谷間の年でしたので、卒業者は少なくなっています。

美容師ブーム時はなり手も増加傾向にありましが、現在は落ち着きをみせ平成10年度と卒業者数はほぼ同じです。

こう見るとそんなに学生の減少を感じませんので、人手不足にも感じません。

美容室数の増加から見る人手不足

しかし、次のグラフをご覧ください。

◆平成27年度全国理・美容施設数(軒)◆

理容室美容室
10年度142,786201,379
11141,321200,682
12140,911202,434
13140,599205,204
14140,374208,311
15140,130210,795
16139,548213,313
17138,855215,719
18137,292217,769
19136,768219,573
20135,615221,394
21134,552223,645
22130,755223,277
23131,687228,429
24130,210231,134
25128,127234,089
26126,546237,525
27124,584240,299


(出典:「衛生行政報告例」(厚生労働省)(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/36-19a.html))を加工して作成

これは全国にある美容室数の推移です。
少しずつではありますが、微増してきています。

美容室は増えているけど、なり手は大きく変わっていないということは、もうお分かりですね?
1店舗あたりの美容師数は少なくなってきており、人手は足りてないのです。

新しい求人方法!?

2つの推移を見ていただくと、新卒生がサロンに入社してくるのは程遠く、人材確保は今後ますます難しくなってきます。
そういった意味でも引き抜きはとても効率的な人材確保と考えるサロンが多く新しい求人のかたちのようにも感じます。

でも、本当に美容業界で引き抜きはおこなわれているのでしょうか?
ネット上で実態を探ってみました。

引き抜きの実態


https://twitter.com/chuchusince1979/status/625648988058857472

引き抜きは結構おこなわれているようですね。
どのサロンも優秀な人材を確保するのに必死なのでしょう。


(出典: 写真素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)[ photoすしぱく][モデル:大川竜弥]
引き抜きをした方は売り上げが確保されて良いことも多いでしょうが、スタッフを取られた方は正直たまったものではありません。
スタッフが減って忙しくなるプラス、売り上げも落ちてしまうのですから。

ただし、闇雲に引き抜いて良いかというと法に触れるケースもありますので、引き抜く方も引き抜かれる方も今の状況はよく確認してから行動しましょう。

引き抜かれるのはこんな人

美容師も引き抜きが多いのはご理解いただけましたか?
実際に引き抜きの話があるのはどういう人なのか?
下記が特徴です。

売れっ子スタイリスト

売り上げを多く上げるスタイリストは引き抜きにあいやすいです。
引き抜くということは、それだけ多くの売上も期待して声をかけます

ベストは抱えている顧客を連れてきてもらうことですが、個人情報など何かと厄介なことが多いのが現状です。
そのため、例え顧客を連れてこられなくても元々売れっ子スタイリストですから、支持される理由があればすぐに売り上げを上げられると予想されます。

どの分野でも数字を作る人は例外なく優秀とみなされるのです。

メディアやSNSで人気がある

美容専門誌などで活躍する美容師は昔から存在していますが、最近は時代の流れかSNSを有効的に使って自分をアピールする美容師が増えています。

■作品撮りした写真をTwitterやInstagramにあげる
■アレンジ動画をYouTubeで紹介
■美容に関する考えをブログで発信

など、美容師にとってSNSは必需品となっています。

これは単純に集客活動の一つとしておこなっている場合がほとんどですが、同じ業界の経営者などの目にとまることで引き抜きの対象者にもなります。
また、そのつぶやきや動画が話題となっていればなおさら目にとまりやすいです。

SNSではその美容師がどの客層が得意か、どんなテイストが得意か、どんな人間性なのかもわかります。
そして、「ウチのサロンに来ると売り上げが作れそうだ」と予想ができます。
これだけ簡単に情報が引き出せるのはSNSならではとも言えます。

引き抜きの話は慎重に!


(出典: 写真素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)[ photoすしぱく][モデル:大川竜弥]
”引き抜き”と聞くと意見は賛否両論あると思います。
特にスタッフを取られた方は文句一つや二つでは気が済まないでしょう。

しかし、考えは色々で見方を変えるとかなり違って見えます。
参考になる記事があったのでご覧ください。

”美容師の引き抜き”とか全然いいでしょ。活性化

引き抜きは、より好条件を求めて自分を高めるチャンスでもあります。
そう考えると別に悪いことではありませんし、当たり前のことのようにも感じます。

スタッフを取られた方は待遇などなにが悪かったのか考えるチャンスですし、引き抜きにあった人も仕事に対する価値観を考える良いきっかけにもなります。
しかし、何も考えずに突き進むのは後々のトラブルに発展しかねませんので、引き抜きの話は慎重になりましょう。