働きたい美容室ランキング1位「ALBUM」に直撃取材 カカクコム創業者が運営する美容室の裏側に迫ってみた

[記事内外にPRを含みます]

こんにちはKAMIU編集部です。

昨年末にリリースした 「現役美容師が選ぶ 働いてみたい美容室ランキング2018」ですが、おかげさまでたくさんの反響をいただきました。

今回は、ランキング1位に輝いた「ALBUM」のオーナーであり、カカクコムの創業者としても知られる槙野光昭さんへ直接取材をする機会を得ることができましたので、美容師から選ばれる美容室経営の秘訣・裏側、ALBUMの今後の展開など聞いてきました!

槙野さんというと昨年の新R25の記事「5億円稼いだら辞めると決めていた」カカクコムを創業し、28歳でリタイアした男の今が非常にバズったのが記憶に新しいですね。

異業界から参入してわずか数年でインスタグラムのフォロワー数日本一美容師が選ぶ美容室日本一とお客さんからも美容師からも多くの支持を得ることができたALBUMの裏側をインタビューを通じて探ることができました!

  • インスタグラム運用の秘訣
  • ALBUMは業界のタレント事務所
  • ALBUMの今後の戦略

など、とてもおもしろいお話を聞くことができましたのでぜひ最後まで御覧ください。


【槙野光昭(まきのみつあき)】1973年7月29日東京都生まれ。大学卒業後、パソコン周辺機器メーカー(現バッファロー)で営業に携わる。2年で退職し、カカクコムの前身となるコアプライスを立ち上げる。価格.comが成長を続ける中、2001年に28歳という若さで会社を売却、経営の一線から引退した。2014年に有限会社オニカムを立ち上げ、美容室「ALBUM」を開業。

美容室「ALBUM(アルバム)」とは?

みなさんご存知かと思いますが、万が一聞いたことがないという方のために簡単にALBUMの特徴についてご説明します。

インスタグラムのフォロワー数が美容室No.1

今やALBUMの代名詞ともなっているインスタグラムですが、公式アカウントのフォロワー数は37万6千人(2019年1月15日現在)と美容室として日本一となっています。
また、公式アカウントだけでなく、所属美容師のフォロワー数も凄いことになっており、10万人以上のフォロワーを持つスタイリストが5名も在籍しています。
なんと、公式アカウントと所属スタイリストのフォロワー数を合計すると100万人を遥かに超えるフォロワーを獲得しておりました。。重複もあるので単純に比較することができませんが、女性誌で最もフォロワーが多いVOGUE JAPANが106万人ほどのフォロワーということを考えると凄すぎます汗(KAMIU調べ)

 

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トレンドヘアーを毎月通える価格で提供

これだけのインスタグラムのフォロワー数を誇るALBUMですが、決して高級店というわけではなく、「カット2700円~」とむしろ低価格なメニュー設定をしています。
アパレルでいう「H&M」や「ZARA」などのファストファッションメーカーのように最先端のトレンドを低価格で提供できる「ファストサロン」を目指しているとのこと。

最新トレンドヘアーを低価格で提供する”ファストサロン”
ファストファッションメーカーのように目まぐるしく変化する世の中のトレンドを素早くキャッチし、誰にでも手の届くお手頃なプライスで新しいライフスタイルを提供できるようなサロンを目指しています。
出典:ALBUM HP(https://www.album-hair.com/concept)

働きたい美容室1位に選ばれたALBUM

前置きが長くなってしまいましたが、美容室「ALBUM」が働きたい美容室1位に選ばれた理由、美容室経営の裏側を探っていきましょう!

ランキング掲載記事でも書きましたが、今回ALBUMがAFLOAT、airといった老舗有名サロンを抑え1位になった背景には、雑誌などでのブランディングからインスタグラムなどSNSによるブランディングへのマーケティング手法の転換が大きいと考えています。

このSNSへのマーケティング手法の変化は、美容室が主体となって情報発信をできるという点で、美容室のブランディングという枠を超えて、従来のメーカー‐雑誌‐老舗美容室という業界構造に変化を生じさせるものになるのではないかとも見ています。

インスタグラムという新しいメディアで圧倒的な地位を獲得することに成功したALBUMの美容室経営の裏側、今後の展開について聞いてみました。

IT業界出身者(カカクコム創業者)ならではのPDCA経営

‐インスタグラムで多くのフォロワーを獲得していますが、どのように運用されているのでしょうか?
所属の美容師のインスタグラムのフォロワー数、投稿数をデータベース化していて、投稿とフォロワー数の増減を毎日チェックするようにしています。
店舗に属する全美容師のフォロワー数、投稿数を見ることができるので、どんな投稿がフォロワー数を上げるか、逆に下げてしまうかなど日々改善することができます。

‐これは面白いですね!まさに王道の運用方法ですが、ここまでデータを蓄積してツール化しているところは美容室どころか、大手企業でもないですよね!
他にはどのような機能があるのですか?

IKINAというツールを使っているのですが、ここで日々の業務についてのフィードバックも行えるようにしています。
20ほどの評価項目を設けて、項目別に順位も出るようになっています。お客さんからの評価も項目別にNPSを使い数値化しています。スタイリストが下位20%以下になった場合スーパーバイザーからコメントを入れて改善指導が入る仕組みになっています。

インスタグラムでもそうですけどALBUMでは自分がまる裸になってしまうんですよね。自分分析がすごくできてしまう。
どこがいいか、どこが悪いのかすべてわかるので、やる気のある人にとっては単純で、いいところを伸ばして、悪いところを改善すればいい。
ランキングも出てしまうので厳しい世界ではあるかもしれないのですが、なんとなくフィードバックされるのでなくて、項目別に数値で出てアドバイスももらえるので断然わかりやすいですよね。

ALBUMは業界のタレント事務所

‐新卒採用もはじめられていますが、教育などどのようにされていますか?
新卒採用は第1号として2017年1名入って、その翌年に6人、今年は15人程度採用する予定です。
独自の教育カリキュラムを作って2年でスタイリストデビューができるようになっています。先ほど紹介したIKINAにも、技術動画やメーカーの臨店講習動画もアップされていて常に技術を学べる体制を整えています。
ALBUMの技術を業界のスタンダードにしたいと思っていて、技術動画はYoutubeなどへの一般公開も予定しています。

‐動画で技術を学べるのはいいですね!なんかALBUMさんっぽい。
他に人材育成で大事にしていることはありますか?

人材育成と少し違うかもしれないけど、ヘアショーなどの外部仕事は広報担当者が営業しまくってどんどん活躍できるように活動しています。

ALBUMは業界のタレント事務所のようなものだと思っていて、マネジメントチームがしっかりいて、外部の仕事をスタイリストに平等に振れるようにしています。業界をざわつかせるように旬で可能性の高い若いスタイリストをどんどんキャスティングするようにしています。

キャスティングをオーナーがやったらだめなんですよね。美容室経営でよくあるのが、オーナー美容師が外部の仕事を独り占めしてしまうパターン。
サロンの認知度は上がっていくかもしれないけど、オーナー以外の下が育たない。

というか、、オーナー以外のブランディングが全くできていないサロンってありませんか?
オーナーの個人ブランディングより、サロン全体がブランディングされるように持って行く方が良いと思いますね。イベント独り占めオーナーにサロンの未来なしですね。

ALBUMの今後の展開は?

‐ALBUMの今後の展開について教えてください。店舗展開はどのようにお考えですか?最近だと「IT」という新しいブランドのお店もオープンされました。
IT by ALBUMはまだ実験的な位置づけですかね。ALBUMが出店しているようなブランディングされたエリアでない場所を狙って出していこうと考えています。

新店舗としては今年3月に銀座店の出店が決まっています。銀座店はセット面30席、コールド10席と、ALBUMグループ最大規模の店舗で、渋谷・新宿以上に大規模な店舗になります。新宿はホットペッパービューティーの予約ランキングで全国1位(2018年11月度)を獲得しているので、それより枠数を取れる銀座店でも今年は難しいかもしれないですけど、来年(2020)には1位を狙えるかなと思っています。

‐インスタグラムのフォロワーがここまで多いと美容室の集客以外にも事業展開できそうですが?
美容室として37万人、スタイリストも合わせたら相当な影響力ですよね。
この前もあるメーカーの社長さんと話していて、「新しい商品作ってくださいよ、うちで宣伝するんで」みたいな話はよくでます(笑)

実際ECの展開は真面目に考えていて、インスタグラムにショッピングバッグを付けて商品をプロモーションしていくみたいなのは動いています。
上場に向けて美容室経営ともう一つ柱を作りたいんですが、ECは有力な事業になると考えています。

 

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取材後記:インスタグラムの破壊力

取材を終えて改めて感じたのは、インスタグラムの破壊力です。
ALBUMはもはや単にインスタグラムのフォロワー数が多い美容室であるだけでなく、37万人以上(所属スタイリストも合わせればユニークでそれ以上)のエンドユーザーに直接リーチできるメディア企業のような存在になっているのではと感じました。

取材であった技術動画を美容師向けに公開していく話などがうまく行けばお客さんであるエンドユーザーはもちろん、美容師、美容室までリーチを取ることができるようになります。
第2の柱としてEC展開をあげていましたが、それ以上に大きな影響力を業界に与えることができる潜在力をALBUMは持っていると感じました。

ALBUMの新しい動きに今後も注目していきたいと思います。

おまけ:カカクコム創業者 槙野光昭とはどんな人?

槙野さんのことをもっと知りたいという方には下記の書籍がおすすめです!
カカクコムの創業時の話などは現在のALBUM経営とつながる部分もあったのではないかと取材をしながら感じる部分がありました。
個人的に、創業当初にPCの価格を調べてはエクセルに打ち込んでいったというエピソードは、インスタグラムの投稿を徹底的に調べあげフォロワー数を増やしていった過程と非常に似ているなと思いました。
ぜひ読んでみてください。