【独自】美容師法改正、60%以上の美容師さんが「まつエク必修化には反対」。必修化の根拠となっている「まつエクの危険なトラブルは減少傾向」か。国民生活センターに問い合わせてみた

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どうもKAMIU編集部です。先日配信した下記記事ですが、非常に反響を頂きまして、総勢280名以上の方から美容師法改正に関するご意見を頂きました。

参考:【速報】美容師国家試験で「オールウェーブが廃止」に一歩近づく。代わりに「まつエク」が必修化か。現場を見ろという意見も。

今回はアンケート結果と、かなり長いのですがアンケートで頂いたご意見全データを記事末尾に公開させて頂きました。
いやー今回のマツエク必修化、調べれば調べるほど本当に必修化が必要なのか疑問に感じる状況でした。

専門資格として別資格を設けるとかの動きが必要そうな気がします。
では、アンケート結果を公開していきます。

アンケート結果では60%以上がまつエク必修化に反対。一方でカラーの必修化には68%が賛成

早速まつエク必修化に関するアンケート結果が下記です。まつエク必修化に関しての反対意見が中々多いです。

どちらでもないと回答された方も反対の可能性があると考えると80%以上がまつエク必修化に反対の可能性があるという結果です。

一方でカラーの実技試験化に賛成するのは68%の方が賛成と答えております。
シャンプーの実技試験に関しても57%が賛成。このあたりはテストあると良さそうですよね。

続いて、ワインディングの廃止とオールウェーブの廃止についても見てみましょう。


オールウェーブの廃止は支持率が高く、66%が廃止をしてほしいという意見。
ワインディングに関しては廃止に反対するのが77%。そりゃそうですね..!

さらに見やすく、表でまとめてみました。
いやー、この状況でなぜ、「マツエク必修化」という結論になるのかがちょっとわかりかねますね。。

一部抜粋すると、下記のようなコメントが多く見受けられました。

美容師法改正に関してのご意見をお教えください [まつエクの実技試験化に]まつエクの必須化について回答した理由をお教えください
反対選択科目としては良い。世間の需要が他技術に比べ少ない。限られた授業時間なら、他に強化すべきものがある
反対男性はどうなるんだ?
反対まつエクが不必要
反対必要なし
反対マツエクはいらない、誰でも1週間でできるから試験やそれに向けて時間を使うことは、時間の無駄遣い、マツエクやりたい人口少ないのに必須にする必要性は無い、
反対試験より経験
反対必須ではないと思うから
反対国家試験ほどの技術はいらない
どちらでもない専門分野としてしたらよいと思う
反対まつエクを使用しない美容師が多いため。
反対無駄な時間

ちなみに今回のアンケート属性としては”経営者”の方から多くのお声を多く頂きました。
下記で属性別にまとめています。経営者の声=美容業界の声的な感じですよね。

役職人数比率
アシスタント62.12%
スタイリスト10035.34%
その他227.77%
経営者15053.00%
美容学生20.71%
美容室ディーラー31.06%

では、何故、厚労省がまつエク必修化に突き進んでいるのかを深掘っていきたいと思います。
色々と各所に問い合わせさせて頂きました。

今回の法改正はJABS(一般社団法人日本美容サロン協議会)提出の骨子案をもとに進められている

今回の法改正はJABSという団体が強く関わっており、元々の骨子案に「まつエク必修化」が含まれていた原案をもとに必修化の流れとなっております。

ではどのような資料だったのでしょうか?一部抜粋してみていきます。

タイトルは「美容師制度のあり方」良いタイトルですよね。
続いて団体概要がこちらです。美容室チェーンがズラッと並んでいます。
賛助会員企業にも有名メーカーやディーラーさんの名前がたくさん並んでいますね。

一部中略させて頂き、まつエク必修化の箇所を見てみるとこのような内容でした。

まつエクのトラブルが減る気配がないという主張ですね。

まつエクのトラブルが減っていないから、マツエクを必修化させよう。
という主張だったんですよね。トラブルが減っていないなら必修化はたしかに必要そうだなと感じます。

では、本当にトラブルは減っていないのでしょうか?
厚労省にこちらの資料を提案されたJABSさんに問い合わせてみました。

データの真相をJABSさんに問い合わせてみました。

下記がJABSさんにお送りしたメールになります。
一度JABSさんから「議事録に全て記載されている通り」と返答があり、再度質問した文面が下記になります。

■KAMIU編集部からの質問

■JABS様からのご回答
回答は下記でした。

国民生活センターと、各業界団体へのヒアリングを行ったとのことです。
各業界団体の名前に関しては、メディア掲載があると伝えていなかったため、開示しかねるとのことでした。

(JABS様ご対応ありがとうございました)
続いてJABSさんのデータ根拠のもととなった国民生活センターに問い合わせてみました。

国民生活センターの事故調査DBでは「まつエクトラブルは減少傾向」だった。

続いて国民生活センターに問い合わせを行いました。
国民生活センターでは、2015年に「後を絶たない、まつ毛エクステンションの危害」という内容で国民生活センターから被害に関するリリースが出しているんですよね。

下記のような感じで、結構強めの主張をされておりました。

こちらの担当部署である商品テスト部に問い合わせたところ下記のような案内を頂きました。

  • 平成27年のリリース時はPIO-NETデータをもとに発表しているが、2015年以降に再度同じ条件でのデータ集計を行えていないため、減っているかは不明。(まつ毛エクステといっても店舗だけでなく、商品のトラブルなども含まれるため、細かい仕分けが必要とのこと)
  • そのため、このリリース以降に減少したかどうかを見るには改めて詳細な集計が必要で、通常集計では時間がかかる。
  • もしお急ぎで推移を見たいのであれば、事故調査データバンクシステムを見るのが良いかと思います。

とご案内頂きました。国民生活センター側でリリースを打たれていたので、その後のトラブル数分析までされていると思いましたが、、されていないとのことです。
案内されたデータベースでの推移を確認してみます。

事故調査データベースバンクでは「まつ毛エクステトラブル」は減少傾向。まつエクのトラブルは減っている?

ご案内されたとおり、事故調査データバンクシステムで調べてみました。
こちらのシステムは警察および国民生活センターから生命の危機や危害がある恐れのある申告などをデータベース化されているとのことです。

ここに「まつ毛エクステンション」と入れると該当のトラブルの件数がでてきます。

条件指定で期間をしぼって検索していきます。

2011年は「まつ毛エクステ」に関するトラブルは35件登録されていました。

2011年から2021年までの事故調査データベースバンクの推移をまとめてみた表がこちらです。

めちゃくちゃトラブル減ってませんか‥!?

2014年は103件のトラブル件数から、2020年以降は22件~38件。。生活センターのリリースが効果あった感じがしますね。国民生活センターのリリース以降でざっくり50%減くらい減っています。

ここで気づいた方がいると思うんですが、、厚労省に提出された資料のまつ毛エクステトラブルが減る気配がないから、まつエクを必修化しようという主張とは相反する結果となってしまいました。

今回のデータソースが事故調査データベースバンクという身体や生命にかかわる事故をまとめるデータベースだったのでこのような結果になったのかもしれません。。

再度JABSさんにエビデンスの問い合わせを行い、エビデンス調査を進めます。

アイラッシュは「選択性免許」でよいのではないか?と思った方へ。

実は2018年の規制改革会議で「まつエクを選択性免許にするべき」と提言はされているんですよね。
しかも個人と法人からそれぞれ1件ずつ。

こちらに関しては厚労省が下記を理由に対応不可と回答されたようです。

「美容師は、技術だけでなく関係する法律等も含め、体系的に学んでいるため、衛生的で安全な業務が行えるものと考えます。業務内容ごとに細分化し、それぞれの業務を資格として取得させることは、公衆衛生上適切な規制とは考えていません。」とし、「対応不可」回答した。
ソース:https://ribiyo-news.jp/?p=22433

なるほど。そしたら美容師免許保有者のみに「アイラッシュ免許」を追加取得させるような形式であればいけるのではないか..?と思いました。
全美容師免許保有者にアイラッシュを義務付けるのであれば、すでに美容師免許を保有している美容師が何故、追加試験なしでまつエク出来るのかが説明できないはずですし。。

自動車免許に大型など分類分けがあるように、美容師免許にもあって良さそうですよね。

最後に:まつエク必修化は、またオールウェーブの悲劇を繰り返すのではないか?

今回「オールウェーブ廃止」ということで、ついに旧来型の美容師試験にメスが入れられたか、と思っていたんですが、同時に「まつエク必修化+実技試験」という案が出されていて驚きました。
皆さんは必修化についてどう思われますか?

オールウェーブも過去の採用された際にはムーブメントがあり、一般的な技法だったと思うんですよね。今回のまつ毛エクステに関しては現状でアイラッシュ経験者は全体の10%ほどと言われています。

本当に必修化の方向に進んでしまうのか、引き続き調査していきます。
アンケートの全データはこちらから御覧ください。

まつエク必修化に関するアンケート全データ