どうもKAMIU編集部です。1年ほど前から話題の「シェアサロン」ですが、まだまだ話題になっていなかった4年前。
表参道エリアで通常サロンからシェアサロンにサロンの運営業態を変えられたオーナーさまがおられます。
今回はまだ一般化していない時代にシェアサロン運営を開始された長倉オーナーにインタビューをしてきました。独立から共同経営、Airsalon社との共同サロン経営、シェアサロン開業までの変化など、シェアサロンの運営に興味がある方はぜひご一読くださいませ。
徳島から上京、やりきったアシスタント時代。
-本日はよろしくお願いいたします。まずは独立までのお話をお伺い出来ますでしょうか
はい、徳島県から上京し、20歳で都内の美容専門学校を卒業、その後表参道のサロンに入社という経歴になります。入社後3年目でスタイリストデビュー致しました。
-入社3年でスタイリストデビュー、当時の表参道だと早い気がしますがどうなのでしょうか?
当時勤めていたサロンの平均デビューが4~5年だったので、早い方だったとは思います。自分が早くデビュー出来た背景には、「内的要因」と「外的要因」の2つ理由があったと思います。
内的要因としては、元々手先が器用で頑張っていたのと、モデルハントが苦手ではなく、かなりの人数を呼べていたので、それが認められたのだと思います。外的な要因としては、勤めていたサロンが多店舗展開するタイミングだったので新店舗でスタイリストが必要となりデビュー出来たのではないかと思います(笑)
-ありがとうございます。スタイリストデビューのスピードは勤め先のサロンに依存してしまうので、外的要因があるのは仕方がない部分もありますよね。。
30歳で独立。共同創業者とのトラブル、スタッフ問題などを抱え、辛い時期を過ごす。
-その後のお話をお伺い出来ますでしょうか。
はい、その後スタイリストとして6年ほど勤め退社。準備期間として1年間面貸しサロンで勤め、1社目の同僚と共同で創業をしました。
-経営は順風満帆だったのでしょうか?
順風満帆とはいきませんでした。まず共同創業の際に、初期費用折半という話だったのですが、全て私が負担することになり、創業時点で少し揉めてしまった経緯があります。その後、開業してからも共同創業者と揉めてしまう事が多く、最終的に仲違いしてしまいました。
-全て自己負担だったのですね。。その後もお聞かせください。
はい。その後も経営がうまくいっているとはいえない状況が続きました。残ったスタッフたちも元々友人だったということもあり、営業スタイルや態度などを注意をしても反発され、サロンの統率が取りづらいという状態になってしまいました。また、他のスタッフに関しても完全歩合だったので、彼らも生活をするために夜にアルバイトして、昼間はバックルームで4~5時間寝るというような状況。お店の売上は80%以上が自分の売上という状況で、店舗運営の進退を悩んでいる状態でした。
そんな時にSNSで見かけたのがAirsalon.netというサービスでした。
2度目のAirsalon社からの「美味しい話」、疑い・天秤・「個」の時代。
-その後、共同でシェアサロンを運営することになるAirsalonですね。最初から一緒に「シェアサロン」をするという話だったのでしょうか。
いえ、当時、集客メディアの方からAirsalonをご紹介頂き、一度目の問い合わせではAirsalon.netという面貸しポータルサイトのご案内をメールで頂いたのですが、しっくりこず見送っていました。その後、美容系の飲み会で、偶然再会し、「表参道でのシェアサロン計画」についてお伺いしたのがきっかけになります。
-シェサロン計画、気になりますね。。実際すぐにシェアサロンやろうとなったのでしょうか?
最初にお会いした後、シェアサロン化の話は良い話ばかりで怪しいと思っていました(笑)
しかし、2度目にお会いした際に、しっかりとデメリットの部分もすべてお話頂き、今のサロンをそのまま続けた場合と「シェアサロン化」した際のメリット・デメリットを天秤にかけ、シェアサロン化しようと踏み出した経緯になります。
また自分自身として「美容室」という時代から「美容師」という個の時代が来ていると感じており、シェアサロンという業態を取り組んでみたいという気持ちもありました。シェアサロン計画の話をし始めてから、約1ヶ月半でシェアサロンをリリースするに至りました。
シェアサロン化が軌道にのり、サロンオーナーから「シェアサロンオーナー」へ。
-シェアサロンを運営してみて、実際どうなりましたか?
開業1-2ヶ月は平日は空いているし、本当に大丈夫かなという印象でした。しかし、どんどんと問い合わせを頂き、多い月で20名以上が見学に来られるなど、利用者も徐々に増え、黒字化する月も増えてきました。
自身でサロンをしていたときも面貸し形態を取っていたのですが、3年経営して10人程度の利用人数。Airsalonと共同経営したことで、既にその数を大きく上回る方にご利用頂いています。美容師さんにシェアサロンとしてのH+の認知を増やすことが出来たと感じています。
-シェアサロン化の以前・以降の心境の変化をお教え頂けますでしょうか?
シェアサロン以前は「スタッフの売上は自分の責任」という重圧や、経営が傾くと「サロン」、「家族」に負担を掛けてしまうため、「休まず働き続ける」というのが常態化していました。
シェアサロン化してからは、お互いに利用者とオーナーということである程度の緊張感が保てており、人間関係のストレスが一気に減りました。また、店舗自体は利用者さんが1人で利用もできるスタイルなので、家族の行事などは休むなど自分の時間を確保できるようになったのが一番良かったなと感じています。
-今後、シェアサロン業態はどうなるとお考えでしょうか
美容業界全体が、店ではなく個で集客出来るような時代になってきていて、それに伴いシェアサロン自体も今後は増えると思います。ただ、異業種からの参入などが多く、若干の打ち止め感は感じており、従来型のシェアサロンとは違ったシェアサロンや、マーケティングに強みのあるシェアサロンが今後は生き残ると感じています。
-本日は長時間のインタビュー、ありがとございました!
【コラム】この4年でシェアサロンはどのくらい増えたのか
インタビューの中で、長倉さんも仰っていた「シェアサロン参入の増加」というお話。
KAMIUでもかなり増えたなという印象ではあったのですが、実際にシェアサロンはこの4年で何処まで増えたのでしょうか?
KAMIUで独自調査致しました。2015年以降に立ち上がった主要なシェアサロンのみの比較、かつ公式サイト掲載のデータより引用になります。
現在、主要5社だけで50店舗弱、全国にシェアサロンが誕生しているようです。
個人店さんなどで運営されているシェアサロンを含めると、既に全国で100店舗くらいはシェアサロンがあるのではないでしょうか。
時代の流れを読み取ると、より増えそうな感覚を持ってしまいます。
【コラム】令和時代、美容室ビジネスモデルは次の進化を遂げるか
美容室の今までのビジネスモデルを振り返ってみると、時代背景とリンクした事業モデルが一般化する傾向にありました。
2009年頃から起きた業務委託サロン増加の背景には「インターネットの一般化」×「ホットペッパービューティーの台頭」という時代背景がありました。
2020年の今、美容師個人でも集客が出来る時代が来ており、美容室の出店数は全国に25万店舗と増え続け競争は激化する一方です。
あえてリスクの高い出店するという選択肢ではなく、シェアサロンで「1席で独立する」という時代が来るのかもしれません。
最後に:インタビューを終えて
シェアサロン運営前後の「気持ちの変化」といった視点でお話を聴くのは初めてだったので非常に貴重な機会となりました。
シェアサロン化すると、どのような点が良くなり、悪くなるのか。
国内にある美容室の80%程度は個人店舗と言われています。
個人で「集客」「求人」「経理」など経営の全てを担うのではなく、シェアサロンとして運営し、経営の一部を棲み分けていくのも一つの手段だなと感じたインタビューになりました。
長倉さん、ありがとうございました。
シェアサロン化に興味のある方はLINE@までお問い合わせください。